第91話 二人同時に担ぐのは重い話

文字数 678文字

 エルフのお姉さんのお友達を担ぐと二人目を探す旅に出ました。

「お願いだから見逃して!」

 肩に担いでいる眼鏡をかけたエルフのお姉さんが騒いでいます。

「心配しなくても私は優しいですから衣食住は保証しますよ」
「吸血鬼がどうやってお金を稼ぐのよ」
「人魚さんから天然の真珠が集まっている海底の場所を教えてもらいましたので、その海底から真珠を拾ってきて売るが収入源ですね。これはいつか枯渇しますしいつまでも高値で売れる保証も無いので早々に新たな稼ぐ方法を考えなければなりませんが」

 私が具体的に話しても眼鏡をかけたエルフのお姉さんは納得ができないようです。

「嘘よ。吸血鬼って自分の欲望のために哀れな犠牲者に噛みついてもてあそんで捨てて言えないような末路を見て喜んでいるような生き物じゃない!」

 ずいぶんひどい話があったようです。
全ての吸血鬼が眼鏡をかけたエルフのお姉さんのような行動や性格なのかはわかりませんが私は違います。

「私は違いますよ。私は愛に生きているのです」
「欲望に生きているの間違いじゃないの!?

 すくなくとも欲望を優先には生きていませんよ。
おそらく、たぶん、きっと、理性で生きていますよ。

「どうしてそこで悩むのよ!」

 眼鏡をかけたエルフのお姉さんが鋭く指摘してきます。

「細かいことは良いではないですか。こうして皆で幸せに暮らしましょう」
「だから早く私を降ろして目の前から消えて!」

 もう一人はなかなか見つかりませんね。
これだけ大声で話していたら逃げて行ってしまったのかもしれません。

「早く仲間を解放しろ!」

 どうやら気骨があるエルフさんがいたようです。
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