第９５話　幽霊に噛みついた話

　女性たちを置いて男の案内の元、真珠一個で交換してもらえる幽霊屋敷に来ました。

「それでどんな幽霊が出るのですか?」
「この豪壮な屋敷にふさわしい金持ちの爺さんの幽霊と若い女性の幽霊らしい」

　なるほど。
お爺さんの幽霊は興味ありませんが若い女性の方は好奇心がうずきますね。

「まさかと思うが幽霊まで噛みついたりしようと考えていない?」
「幽霊に噛みついたことが無いのでわかりませんが美味しそうなら噛みついてみたいですね」
「幽霊に噛みついて変な病気になっても知らないぞ!?」
「免疫はとても強いので大丈夫だと思うのですが……」

　男と馬鹿な話をしていると変な声が聞こえます。
これが幽霊の声なのでしょうか。

「俺は逃げるから後はまかせた」

　男が慌てて逃げ出しました。
最初から頼ってはいませんが目の前で怪我でもされたら悲しいので結果的に良い判断をしたのでしょう。

「この屋敷から出ていけ～」

　目の前に白髪のさんばら髪のお爺さんが突然現れたので条件反射で右手で払いのけたら木端微塵に吹き飛んでしまいました。
　そして気がつけば若い女性の幽霊に無意識で噛みついていました。

「どうして幽霊の私に噛みつけるのですか!?」

　目の前に美味しそうな女性が居たら噛みつく。
吸血鬼の礼儀だと思うのですが変でしょうか。