第82話 焼きイカの話

文字数 526文字

 イカは強敵でした。

「吸血鬼って泳げたのね」
「イカを焼いて食べるのは初めてです」
「エルフに魚介類を食べさせる感性って……」
「噛みつかれているより良いではないですか」

 美人が四人も集まってイカの焼いたのを食べているのは絵になりますね。
ちなみにエルフのお姉さんに人魚さん、そしてエルフのお姉さんのお友達二人です。

「それで真珠を見つけられたの?」

 エルフのお姉さんはイカに噛り付きながら聞いてきます。

「真珠かわかりませんが白っぽい大きな物体をいくつか海底から拾ってきましたよ」

 私はイカを焼いている焚き火の光に照らされている物体を指し示します。

「これ真珠なの?」

 エルフのお姉さんは拾い上げると目をきらきらさせて真珠をひっくり返しています。

「真珠ですね。何時からかイカ達が真珠を集めるようになったと聞きました」

 人魚さんも真珠をきらきらさせた視線で眺めています。

「真珠がある場所がわかっていて誰も取りに行かなかったのですか?」

 私の質問に人魚さんは哀しげに答えます。

「イカの群れが護っていて誰も近づけなかったのです。この海にいるイカは大きくて強いですから」

 人間より大きなイカが数えきれないほど襲ってきましたからね。
確かにうかつに近づけないのかもしれません。
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