第９６話　幽霊の味は美味しくなかった話

　幽霊屋敷の女性の幽霊に噛みついた結果を端的に説明すると美味しくなかったです。

「信じられない……。幽霊に噛みつく吸血鬼なんて」
「幽霊だからと言って、こんなに美味しくないのは堕落した生活をしているからです。もっと運動して向上心高く頑張って生きてください」
「幽霊にそれを言う!?」

　目の前の幽霊は元気に走り回れそうな立派な足がある幽霊のようです。
これはこれで色っぽいですね。

「普通、幽霊を見て興奮する!?」
「吸血鬼が居る時点で幽霊に怖さなど感じません」
「そーかもしれないけど、ちょっとは怯えなさいよ!」

　いかにも麦わら帽子が似合う幽霊の女性は美味しくありませんが消えてもらうには惜しく感じます。

「一つ幽霊さんにお聞きしたいのですが?」
「何を聞きたいの?」
「どうして幽霊となって、ここに留まっているのですか?」

　話し合いが出来そうな幽霊なのでコミュニケーションの基本である会話から始めましょう。

「知らないわよ。気がついたらここに居てどこにも行けなくなっていたから」
「生前の記憶とか無いのですか?」
「……わからないわ」

　もう少し幽霊さんとのコミュニケーションを楽しむことにしましょう。