第94話 ようやく吉報が届いた話

文字数 572文字

 海産物を主食として数日洞窟の中で過ごしていると男が帰ってきました。

「……俺が必死に帰ってきたのに、どうして顔を見た瞬間ため息をつくのだ?」

 せっかく楽しい時間を過ごしていたのに妨害されては仕方ないでしょう。

「お帰りなさい。家は買えましたか?」
「買えたと言うか押し付けられた?」
「詳しく話してください」

 とりあえずエルフのお姉さんのお友達を四人も両手で抱きしめながら人魚さんに噛みつきながら話を聞きましょう。

「本当に自分の衝動に率直に生きているな!?
「貴方には噛みつかないから良いではないですか?」

 男からの話を聞きますと、真珠と保養所の交換を持ちかけて何人とも交渉していると、胡散臭い人が接触してきたそうです。

「どれぐらい胡散臭い人だったのですか?」
「お前より普通に見えたよ!」

 男が変なことを言います。
私のような善良な吸血鬼を基準に話しては、どんな人でも胡散臭く見えてしまうではないですか。

「それで胡散臭い人の提案は、どのような提案だったのですか?」
「私に噛みつきながら普通に会話するな!」

 人魚さんからエルフのお姉さんに噛みつきなおすと怒られてしまいました。
この初心を忘れない気持ちは大切にしたいですね。

「幽霊を退治してもらえるなら真珠一個で交換してもいいと言ってきた」

 幽霊ですか……。
幽霊って吸血鬼が噛みついたらどうなるでしょうか。
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