第25話 脱出した話

文字数 386文字

 いろいろ押しまくった結果は良くなかった。
もともと老朽化とメンテナンスの放棄の影響は大きく塔の構造体を支える力を失いつつあった。
何かが動こうとしたとたんに塔がぐらりと揺れるのが伝わる。
崩れる音は大きく慌てて脱出を考える。

「外に飛び出すしかないか」

 私は、天井の入り口から飛び降りると窓に向けて加速していく。
床は泳ぎ埃が舞う中窓を吸血鬼のお姫様の力で叩き壊すと跳躍する。
思いのほか簡単だと思いながらも自由落下に身を任せた。
…………
……

「それで俺たちに感謝の言葉は無いのか?」

 気がつけばエルフのお姉さんと男の二人が地面に寝かされている私の顔を覗き込んでいた。

「塔がいきなり崩れだして、慌てて逃げ出した先に何故か地面にめりこんでいた吸血鬼のお姫様を掘り起こして、ここまで逃げてくるのがどれほど大変だったか」

 しみじみと話す男を見て思った。
 吸血鬼のお姫様の体って頑丈なのだと。
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