第21話 子供らしくない

文字数 535文字

まだ、小学校に通う年齢になっていない頃の話であると記憶している。

彼は母とバスでグループ旅行で途中で休憩地に寄っていた時、お店で見かけた本革の野球グローブを欲しがった。

多分、結構、値の張るもので母は買うことを相当渋ったが、どうしても欲しい彼はメソメソ泣いた。すると、母は買ってくれたが、子供らしく大声をあげて泣かなかった彼に不満らしく文句をかなり言っていた。

親とは自分の子がよその子と違うとは言って喜びあるいは不満に感じ、同じだと言っては安堵したり、ガッカリしたりする。

つまり、その子がその子らしくいることは以上のような事情で許されず、どこか生き辛さを感じながら生きているのが大半の人の状況だ。

自分がそのままの自分でいられる相手。心も体も存在全体を互いに肯定される相手。人々はそんな関係性の愛を交わし合える存在を欲している。  
 
多分、そのようなものが得られると考え、お金を稼いだり、様々な基盤を整えるため尽力するのだろう。

567が世界を賑わし、彼は実際に彼女に容易に会えるとは考えてはいない。だが、SNSでまた、話ぐらいしても許されるだろう、そう切に感じていた。

そうすれば今すぐ、幸せになれるのに‥‥。だが、それとも、彼女に気をとられ仕事に身が入らなくなるんだろか ?




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彼女

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