第32話 対話(ディア・ロゴス=言葉を合わせる)

文字数 477文字

彼ひとり語りかけているのみで彼女は沈黙を続けているのだから、モノローグ(独白)といった方が適切だという向きもあろうが、彼は多分、自分自身と対話をしているのであろう。

「太陽と自分を凝視するのは困難だ」とかいう言葉があったかと記憶しているが、対話相手として最も困難な相手、それは自身ではないだろうか。

よく他者を愛する前に自身を愛せ、という言葉を聞くが、その用法・用量などを教えられたことがないので、理解できていない人が殆どであろう、と彼は自身を含めてそう感じている。

自分のこの記録が読んでくれているあなたのお役に立ててるならとても嬉しい、衷心からそう感ずる。大事なのは概念・言葉に振り回されることではなく、自身が生きて新たな概念を人々の生に吹き込み・提示し、生きる勇気を与えられたら、そう切に想う。

どんな結末が待っていようとも、もし、恥ずかしくて堪らないエンディングが待っていようとも、後悔は微塵もない、そう彼は感じている。

生きることは表現だ。笑われるなら、大笑いしてもらえるよう表現しよう。

薄明の窓外に眼を転じ彼は想う。「これが恋愛か。では、何度でも‥‥」

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彼女

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