第8話 =_= と応えた彼女

文字数 885文字

いつであったか覚えてはいないが、彼が彼女に「クリシュナのように生きる」と宣言したら、彼女は、=_= という顔文字で応えた。
彼女は彼を独占したいと想っている、という神託を20回以上受けている。嬉しいような‥‥
願いが叶う1年になる、そう告げられた。YouTubeの遠隔参拝で
「今年1年、人生で最高な年でした。本当にありがとうございました」
と、2021年12月31日現在にいる気分で礼を申し上げた。そうすれば今年1年いいことが頻出する、と知らされたからだ。
567に関して、武田さんが内実を暴露している。国民が騙されているのはテレビが広まった時からなのだろう。
クリシュナの凄惨な最期を彼女は彼に語った。暗に「他の女性に気を向けるな」と言いたかったのだろうか。彼女はあまり、愛情表現が上手くないというか、苦手で殆どしないような感じに見える。
「愛は表現だ。生きるというのは表現なんだよ ! 」
彼はメッセンジャーで彼女に語りかけた。
「おめえは言葉で、愛してる、とか表現しねえだろ。だから、相手の男を愛している証としてつきあう男に金を出させられる羽目に陥るんだよ」
そう分析し、告げた。彼は時に、放送禁止用語とかを述べた。そんな時、彼女はすかさずブロックした。しかし、違うアカウントに移って、また、戻るとブロックは解除されていた。
こんなことを数度繰り返し、何度目かの完全なブロックに彼女は踏み切った。
彼は暫く、諦めて黙っていたが、新たなアカウントを創りコンタクトを再開した。
年は開けたが、コミュニケートはできていない。神託によると、彼女は彼と夢で逢瀬を毎晩重ねていたが、彼にはそんな経験はまったくない。しかし、彼女にはそれがリアルなのでそれに満足して、実際のコミュニケートに踏み切ろうとしないのだ、と告げていた。
窓外の雪を眺め、彼は考えた。気分転換にコンビニに出かけてこよう。たばこを吸いたい気分だ。古来、物書きにはたばこが付き物のイメージがある。確か、カミュも吸いすぎで咳をしていた。そんな映画の映像が脳裏に去来する。
吸い過ぎには注意しつつ、ミューズを煙が連れて来るように彼には想えた。
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登場人物紹介

彼女

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