第41話 君は君‥‥だから━━

文字数 486文字

『星の王子さま』を読んだ。
こんなに感激して頬を伝うものが溢れてやまぬことはなかった。

それは多分、自分が以前の自分と比べて、劇的に変わったから。

彼が彼女と一緒にいれたとしたら、彼がこれ程、人間的に浄化されることもなかっただろう。

彼女の不在が、彼の自身への向き合いを促し、物事を深く考え・感じさせるようになったのだ。

彼は彼女に伝えたいことがある。
「君がなんであるか、自分は知らない。だから、知りたいと深く想うんだ」

「確かに経済的なことは大事だと想う。それが元で別れ行くカップルも多いから」

「でも、今、すぐ、幸せになってはいけないかい ? 」

「コミュニケートしながら、助け合って仕事をしたり、して行くのが幸せだと想わない ? 」

「まあ、君の考え・行動も尤もだ。ほんといつも頑張ってるね。ありがとう」

「このまま暫く離れていても、もう時期、クロスロードするのを知っている」

「星の王子さまにとっての薔薇が、自分にとっての君、か」

「いや、君は自分に『比べないで』と言ったね。だから、何とも比べはしない」

「君は君‥‥だから━━」


彼は寒風吹き荒ぶ、窓外に眼を転じ、温かな想いを胸に抱いた。




 
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彼女

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