【読書日記】桜庭一樹 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

文字数 546文字

ラノベが読みたい!と思って読んだ。ネットの確かな情報によると名作らしい。

砂糖菓子の弾丸とは何だろうか。"あたし"が欲しがっていた実弾とは、お金のことだった。そして、兄である友彦曰く、実弾を撃ち抜くとは、現実にコミットするということ。そして、実弾というメタファーに対立するのが砂糖菓子の弾丸である。

砂糖菓子の弾丸を撃ち抜くとは、現実にコミットすること=実弾を撃ち抜くことに対立するもの、つまり、幻想にコミットするということだ。

そして、作品内で最も幻想(嘘と言っても良いが)にコミットしたのが、藻屑である。

藻屑は幻想にコミットしなければ生きていけない。現実にコミットした瞬間、心も体も壊れてしまうからだ。

そして、タイトルに戻って欲しい。砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない。藻屑は幻想にコミットしたまま生きていくことはできなかった。

"あたし"はその現実に佇むしか無い。

しかし、友彦はどうだろうか。友彦もまた幻想にコミットしようとした。砂糖菓子の弾丸を撃ち抜こうとした人だ。最終的に友彦が選択したのは比喩ではなく、実弾を撃ち抜くことだったことに一抹の希望を感じたい。

余談だが、この作品を読んで、二階堂奥歯のことを思い出した。彼女もまた、砂糖菓子の弾丸を撃ちぬけなかった人だ。私は物語を信じるものでありたい。
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