【読書日記】江戸川乱歩 押絵と旅する男

文字数 373文字

発想は面白いし筆力もすごいのだけれど、あんまり好きじゃない江戸川乱歩。

思うに女性の描写が物足りないからだなぁと。押絵と旅する男が特に如実で、押絵のなかにいる女性がどんな人なのか全く分からない。

短編なので仕方ないと言いたいところだが、泉鏡花の外科室とか谷崎の秘密とか女性が魅力的な短編は色々あるわけである。

泉鏡花だったら着物の柄、化粧の塩梅、色白な肌、通った鼻筋、月や花をモチーフにした比喩で表現された女性の姿を描くだろう。まさに宝石箱。頭に浮かんだうつくしい言葉をかき集めて飾りつけるかのように丁寧に繊細に女性を描く。

それに女性の主体性を何より大事にする。押絵に勝手に男が入って来れられて黙っているような女性は出てこないだろう。押絵の女性がすごく可哀想に思えるのだけれど。

思うに江戸川乱歩は女性に執着がないのだろう。いうまでもないかもしれないが。
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