椎名林檎の本能

文字数 532文字

ずっと繋がれていたいわ
朝が来ない窓辺を求めているの

椎名林檎-本能

ゼロ年代の人はなぜこんなにも朝を恐れるのだろう。しかもずっと繋がれていたいって。

ものすごくロマンチックで、笑われてしまうようなことをいえば、彼女たちにとって、夜は好きな人と過ごせる時間なのだと思う。ここでいう好きな人とは文字通りの意味でもあるし、終わりなき日常を終わらせてくれる(そう錯覚させる)ものでもある。

そして、そのような存在にずっと繋がれていたいわけである。これに政治的な正しくなさを論うことほど容易いことはない。

しかし、自分の思い通りになる人と付き合うって何が楽しいのだろう。そんなの出来の悪い人形。人形は僕の方なんですけど、イライラしたら棚の端っこに1秒あたり2回ぐらいのペースで叩きつけて、足が動かなくなっても、貴方の衝動と本能をエビデンスにした暴力を吸い尽くしたい。それが個としての歴史をかなぐり捨て、まっさらのさらぴん人形として生まれた僕の幸せ。

朝になったら、人になって、人になったら生きなきゃいけないでしょう。そんなのまっぴらごめん。このままものとして支配されて、使われて、代わりができたら捨てられる。こんな幸せな人生が僕の夢。

僕は貴方のお嫁さん人形になるために生まれてきました,
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