「早春のレモンに深くナイフ立つるをとめよ素晴らしき人生を得よ」

文字数 653文字

少し前に川上未映子が葛原妙子さんの
「早春のレモンに深くナイフ立つるをとめよ素晴らしき人生を得よ」
と云う詩を載せていて、それに対して、ファンの方々が思い想いの感想を綴っていたのですが、ある方が、
"「早春のレモン」である「乙女」が、「切断する」という男性原理に突き動かされて、自らの大切な女性性を切りきざむことなかれ"
と書かれていました。
それに対して、ツイート元の川上未映子先生
"「早春のレモン」は女性性の比喩ではありません。文字通りのレモンです。葛原はそうした男性原理的かつ紋切り型の女性性の解釈にナイフを深く突き刺せと言っているのです。"
と説教ツイート。
後半部分はともかくとして、"文字通りのレモンです。"と云うところに不覚にもグッときた。
そのとき、今から10年前の国語授業のことをふと思い出す。
僕は結構、現国とか小説の問題を解くのが好きで、
つまり、あれは「問題文と適合する記述」を見つけるのではなくて、「問題文と矛盾する記述」を見つけるゲームなんですよね。
「書いてあることをそのまま受け取る力」
「書いてないことはその人は言ってないんだと思える力」
そういうものを養う場だったんだなって今になって思うし、それは本当に重要なことだなって。
それが何の比喩・メタファーかって云うのはオタクの2次創作で良いわけで、書いてないことをあれこれ詮索するのは文学の初歩としては実は危険なんですね。
ましてや、言葉のプロである作家さんが「レモンはレモンです」って云ったことはやっぱり、こう、グッとくるわけだし、グッとくるんです。
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