カールシュミット 友敵理論

文字数 733文字

年々人とコミュニケーションを取るのが苦手になってくる。もう中学生とか高校生レベル。10代の頃は友達も一人もいなかった。よく総合職の仕事を四年もしてるな。不思議でしょうがない。

最近、カールシュミットの友敵理論を知った。友敵理論とは、「政治とは、友と敵に分かれて友と連帯し、敵を殲滅すること」という理論である。

言うまでもなく、この理論は危険な思想であり、現にシュミットのこの理論はナチスに援用され、友であるナチスが、敵であるユダヤ人を殲滅しようとした。

狂人もいたものだ。これを教訓にして…と言いたいところだが、シュミットの友敵理論の本質は別のところにあり、それがとても厄介なのだ。

どういうことだろうか。友と敵に別れて闘争するという構造はあまりにもアクチュアルに政治の本質をついてしまっているのだ。

#〜に抗議します、#〜を応援します。Twitterでよく見るタイプのハッシュタグだ。これはまさしくシュミットのいう、友はAというハッシュタグ、敵はBというハッシュタグをそれぞれつけて闘争し合う(リプの応酬)政治の構造そのものだ。

そして、SNSで闘争をしている多くの人はシュミットのことなんて知らないだろう。つまり、無意識にやっているということだ。これはシュミットの友敵理論が正しいことを証明している。

一方でシュミットを否定したいのだか、他方ではシュミットの言うとおりに政治が行われている現実がある。

友敵理論に対抗する唯一の手段は友を作らないこと、すなわち個人主義だ。

友とつるまないこと、一人で生きていくこと、闘争をしないで生きていくための結論がこれとは。悲しい。貧しい。しかし、誰かを傷つけてまで生きたくない。なんと愚かな帰結。でもそれ以外の生き方を僕は知らない。

知らない。

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