第35話 単独行動

文字数 7,995文字

ーーーーーーーーーーーーーメデューリの部屋ーーーーーーーーーーーーーーー

3人はメデュ-リの部屋で一泊する事となった。女三人寄れば文殊の知恵……だったか? ちと度忘れしてしまった。だが、殺人事件が起こった直後。皆の表情も暗い。

「布団は本棚の空いている所にしまってある筈だから、取り出して眠ってーリ」

「分かったリキ!!」
だだだだだだ

「取ってきたリキ!」
バサッ

「え?」
リキュバスは広い部屋なのにわざわざアリリの傍に持って来た布団を敷く。

「アリリちゃんの隣で寝るリキ!!」

「修学旅行的なノリねえ。でも、ちょっとは離れてね? 暑苦しいから?」

「えー? つまらないリキ! アリリちゃんも早く持ってくるリキ!!!!!」

「うん……」
トコトコ 
本棚に向かうアリリ。

「小さくて届かなかったら私に言うーリ?」

「大丈夫だよー」
ごそごそ 
? 何かを腹にしまい込んだ? 何をしているのだ?

「あっ、寝る前にお花摘みに行かないと……」

「う〇こリキ?」
おいおい……

「うん」
アリリ……そこは濁すのだそこは!

「じゃあね」
ガチャ
しかしアリリの向かった部屋は、厠ではなく既に鍵も開けられ自由に出入り出来る元市田の部屋だった。そして、こっそりとネクロノミコンをお腹に隠して脱出した様だ。

「恐らくこの屋敷の中に嘘を突いている人が居る。だからこれからする推理をみんなの前で言う訳にはいかない。もしこの推理が当たっていて真相に気付かれたと分かれば私の事を狙うかもしれないし……本当に信頼出来るとしたらフンガー位だけど、着実に実って来ているとは言え、いくら相談してもまだまだ話にならないよね……だから、自分一人で解決する!」 
成程、トイレと見せかけて、市田の部屋で考えをまとめようと言うのか。

ーーーーーーーーーーーーーーー市田の部屋ーーーーーーーーーーーーーー

「まずは動機かなあ? 何で市田さんは殺されなくてはいけなかったの? 死ぬ必要があったの? 確かの変な癖のオンパレードって感じだけどそこまでする理由にはならないよね? で、恨みを持っている人と言えば、分からないけど……気になった所は……オオカニ君の部屋で露骨に首のない市田さんの人形を持っていて、顔をプラモデルのビームマサムネで突き刺すような細工? がされていたり……駐車場の床に市田さんの顔を書いてスパイクタイヤでズタズタにしていたのがあったわね。まさかオオカニ君? 結構怪しいかも? 他にもマネキンの首が逆さの市田さんになっていたリキュバスちゃん? 他には……フンガーも市田さんの顔の描いてあるまな板がズタズタになっていたけど……あの子の意志でやったと言うなら怪しいかも……まあずっと自室で料理していたし、他の3人……メデューリさんもドフキュラさんもニイラ君もあの時間席を立ったのは一回のみで、トイレに10~15分位席を空けていただけだし……ネズニはずっと部屋に居たっぽいし……分からないなあ。別の事考えよ」
トコトコ トコトコ

「うーん取り合えず、犯人がこの屋敷にいると言う前提で、心を乱した瞬間を思い出してみよう……全員が揃っていて心を乱した部分を。
そんなに多くはない筈。そこだけをピックアップして思い出してみよう……まずは私が200つっこみをした後よね? この時はどうだった? みんな、恐らく犯人も素が出ていた筈。
確か、え な り だ か ず き ちって一人一文字ずつ面白いうめき声を上げて驚いていたよね? まあ誰がどの文字を担当していたかは分からないけど間違いなく一人1文字ずつで驚いていたよね? まああれだけの事を成し遂げたんだから当然よね……でも、別におかしいところはないよね? 驚かない人の方が怪しいし……で、次は死体が見つかった時かな? 私も含め8人で悲鳴を上げていたよね? ここも私含め演技しているようには見えなかった……別に怪しくないか……じゃあ他に何を考えようか?」
トコトコ トコトコ

「何かないかな? うーんと、逆に私も結構びっくりした事あったよね……妖服の間では生気の無い声で見えない悪魔達に挨拶されたり、ハンドバッグの幽霊の手に掴まれたり……心臓がヤバかった……それとぉ……その後、リキュバスさんに勝手に誘惑の魔法使われてみんな混乱したよね……で、次に驚いたと言えばフンガーが料理も出来るって事? これは驚いたわ。次は、200もつっこみをしたのに144まで減らされたり……それで私無意識でネズニ君を斧で斬っちゃった事も……そこでもリキュバスさんは勝手に混乱魔法を使ってメデューリさん以外の全員が混乱しちゃって……あれ? 違うよ……あの時確かリキュバスさん含め3人混乱していなかった様な? あれ? そういえばその前の時も混乱していなかった人がいたような? 私も混乱してて詳しくは覚えてないけど、そんな気がした……ま、いっか。後は食事中に急にリキュバスさんに暗くする魔法使われて……その時思いっ切り怒鳴られたり……後は……市田さんが死んでしまって……その上死体が消えたり……こんなに多くびっくりした日ってあったかしら? 初めてかも……」
クルクル クルクル
椅子に座り、グルグル回しながら考える。

「そうだ。さっき撮影した各部屋のスクショ見てみよっと。ふんふん……ここは花の間か。自然豊かよね。で、こっちも自然豊か。ここ妖精の間でー。ここは天使の間だから厳かで、次が妖服の間ここはヤバかったね。暗くて怖くてー、次は玩具の間か……一見楽しそうだけど結構怖い場所だった。で、次は本沢山の所よね……次が家事担当の部屋よね。電化製品一杯ねえ。後はトレーニングルームもあったわね。あそこは撮影していないけどよく覚えているわ。ノートに記録がされてて、200キロを持ち上げていた人が居たよね? ……フンガーかな? それともオオカニさん? で、変な言葉で書かれた日記があって……確か、シュレイネーゼの日記みたいな表紙だったよね……内容は全く分からない暗号みたいだったけど……」 

「うーん」
同じ場所でグルグル回りつつ考える。

「思い出せ……この館でおかしいと思った全てを……私をアリリ……フンガーをフフンケン……ネズミ男をネズニ男……ドラキュラをドフキュラ……ミイラ男をニイラ男……サキュバスをリキュバス……オオカミ男をオオカニ男……メデューサをメデューリ……そして、亡くなった館主の市田理内」
アリリ……フム、そろそろこのおふざけも止めにしようか……そう、【アリサ】は、今まで出会った人間の顔と名前を思い出す。そして、何か共通点があるのかを探してみる。

「元の名前はアリサ……フランケン、ネズミ男、ニイラ男……ニイラ? でもニイラ君が私に使っていた魔法はホイ【ミ】イラ……あっ! そう言えばニイラ男さんの唱えていた呪文って、ニイラなのにホイ【ミ】イラじゃない!! 迂闊だったわ……っていう事は……やっぱりみんな、ホイミイラはミイラ男が使う回復魔法って世間一般の常識を分かっていて、ニイラと言っている? いいえ、言わされているんだ! 何で? もしかして? 市田さんはどういう訳かみんなの名前を変な風に読んでいるのよね? でも呪文はそうはいかない。正しい呪文でなければ効果が発揮出来ないって確かメデューリさんが教えてくれたから……! だからあの時市田さん

『ホイミイラは嫌いなんだ。二か所もあるのにそれを変えられない。だから怪我をしない様に努めている』

って言ってた! 二か所もってのはミとラの部分よね? それをニとフに変換して、市田さん的にはホイニイラかホイニイフにしたいんだけど、それをやってしまったら回復の効果が下がってしまうし、魔法の理を捻じ曲げてしまう。だから魔法を使う者として最低限のマナーを守る為やりたくても出来なかったと言う事ね? 市田さんがホイミイラが嫌いな理由は、回復呪文受けてダメージを受けるアンデッド体質っていう事ではないもんね? 私自身も受けた事あるけど結構気持ち良かったしさ……だとしたら……正式名称のホイミイラの発音自体が嫌だったんだろうね。掛けられるのも聞くのも! で、確か妖服の間でも暗くする呪文のカーミラを唱えた後も、

『本来カミラかカーニラ、カーミフのどれかがいいんだけどね』

って意味不明な事を言ってリキュバスさんに怒られてたし……これもどこかを変える事で呪文の効果が落ちてしまうから……で、その後明るくする呪文のブライト・モアの時も似たような事を言っていた……だから、恐らくだけど本来ホイミイラも別の言い方で唱えて欲しいんだと思う。
オオカニさんの部屋でもゴルフの事をゴルノと言っていたし、バーディーをバディーと言っていた。でもここの住人って、市田さんの決めたあんな意味不明の滅茶苦茶なルールに従順な気がするのよね。全くつっこむ気配も無く自然に受け入れている……しかも異様な程に……確かフンガーは屋敷に入ったら市田さんに語尾が足りないって怒られて慌てて付け足したんだよね……あのやり取り誰の得にもならないよ? 絶対おかしいよね……確か……フフって付けてたよね? そして、良しって言ってた……考えてみれば怖いよね……ニイラ男さんはニイ。ドフキュラさんはドフ……で時々ュフで、リキュバスさんはリキ。オオカニ男君がカニでメデュ-リさんはーリだった筈ね。で、ネズニ男はピカかチュウと二種類の語尾を交互に使い分けていた。今までの法則から言えばズニだと思うんだけどね……でも多分あいつに関しては特例なのかも知れない。異様に頭良かったからな、あのネズミ……うまい事市田さんを言いくるめて自分の言いやすい語尾にしたんじゃないかしら? ネズニ以外は名前だけでなく語尾までもおかしい状況……でもそれをあまり嫌がっているようには見えない住人達……時々うっかりそれを破っている人を見かければ叱っていた……でも反論する事なく直ぐに改善する……狂った名前に狂った語尾……狂ったルール……それが意味する物とは? そういえばみんな過去に何かしら失敗したり不幸な事があってこの屋敷に移って来た見たいな事を言ってた覚えがあるわ……ネズニは暴走族でニイラ君は元医療従事者。ドフキュラさんは元オペラ歌手で、リキュバスさんはバイトでいたずらしてクビになったし、オオカニ君も変身して追い出されたし、メデューリさんは本で人を1人殺害してるし……」
ころしていないよ。まちがえてきおくしているよ。そんなのだめだよ。

「まさか……そこから住人は仲間ではあるけど、みんな一般の人よりも劣る中途半端な人間である事を常に意識してほしいという気持ちの表れからこの屋敷にいる間はそういうルールを決めたと言うの? 確かに口癖であんなおかしな事を言っている人だし考えられるけど……その一人前ではない、そう、ちょっと不足している妖怪として頑張って欲しいという願いからそんな指導していた? でもそんな間抜けな名前じゃ馬鹿にされないかしら? 折角一応本物さながらの姿に変装しているお化け屋敷のスタッフがそんな語尾付けながら話しかけてきても迫力も何もないじゃない? 何で? 分からない……でもやっぱりこれらの不自然さの共通点ってのは

【彼の認識している正式名称から一が引かれている】

って事なのかも? そうよ! ホイミイラが嫌だけど仕方なしにそれを認めている市田さん。本来ホイニイラにしたいと言う事よね。この違いは……そう! 横棒が一本抜けている筈……待って? 市田理内……そうか……足りないんだ……一が!! いちたりないで市田理内なんだ! 名前通りそういう状況が好きな人なんだ! だから初めて会った時の自己紹介で、画竜点睛が好きだっておかしな自己紹介をしていたんだ! あの四字熟語自体を一足りなくしたりおかしな改変はしていないよね? と言うか改変出来そうな部分はないけど、それでも好きっていう事は、あの言葉の意味が好きって言う意味なのよ! 確か本人もそれを言っていたし……後一息で完成と言う意味。それを【1足りない】と同義と解釈し、好きになったんだ! だから自分が間違えた時に、

『この一つ足りないところが僕の欠点でもあり、良い所でもある』

って、自分を完全否定する事無くあんなおかしな事を言えているのか……ある種ポジティブとも言えるけどさ……一足りないが良いところでもある。なんて言い方は、そういう思想の人間しか出来ないわ! で、例えば、フランケンなら……ラから一をとってフで、フフンケンと。で、ネズミはミから一を取って二と読んでネズニ。他にも……リキュバスさんはサキュバスのサから……うん、そうだ! やっぱり全員その法則に当てはまる! で、ドフキュラさん! 市田さんにドラキュフって言い間違えられて怒っていたのに、

『同じだから』

とおかしな事を言っていた……それはどちらでも一が引かれている状態だから

【彼の認識している正式名称から一が引かれている】

に該当している故に市田さんの中では正解って言う事なんでしょうね……で、ドフキュフと言い間違えた時には悔しそうにしていた。それは、二個一を引いてしまったから! そうなれば2足りないになってしまうから駄目だと言う事よ! それにフンガーの部屋で、

『ゾンビは出来ない。もし出来たとしてもゾンじだ。でもそれだとダメなんだ』

と意味不明な事を言っていたけど、今なら分かる! それはカタカナのビから横棒を強引に取って【じ】っぽい形になるって事よ! でもそれだと正確な【じ】ではないよね? ビの横棒を取っただけの物に過ぎない……それだと市田さんは納得していなかった。
何で? ……そうか! ゾンビはカタカナだ! そしてビから強引に1を引いて出来た文字はひらがなのじ。それらを合わせてのゾンじではひらがなとカタカナが混ざった物。本来ならゾンジでなくてはならないと市田さんは考えたんだ。
だから、私の名前もアリサからありいにしようって言った後、

【これはちょっと違うかあ。混ざっちゃってるし駄目だね……】

と躊躇っていたんだ! その理由もカタカナとひらがなが混ざっている事を嫌がったんだ! ゾンじとアリいの共通点は間違いなくそこだ! それだと何故か彼の中では邪道って事なのかも? まあいいや。で、カタカナの場合はサから横棒の一の形を引いてアリリ。で、ひらがなで考えれば【あ】から横棒を取って【め】。で、めりさにしろって言ったんだ! これは彼の中ではオッケーな例なのね? でもそう考えると彼は初見で何かを知った場合、既存の名前のカタカナやひらがなを瞬時に脳内でイメージし、そこから何とかして引けそうな横棒を探し、見つけ次第それを引くって言うおかしな作業を終え、その結果に改名しろと言う性癖がある男だったんだ! 凄いなあ、こんな事に拘る人に会うのは初めてかも……他にはレーズンの事をマイナス1-ズンと言っていた。あれはレーズンのレーを0と考えればそこから一足りないとマイナス1になるわ。でもレズンでも成立するけれど、名前にいかにも数字っぽいワードだとするとその数字っぽい響きになる部分から実際に数字を一つ引いて表現するみたいね。
お米が少ないって話してた後に十分多いよって言わなきゃいけない所も、

【九分多い】

と別に嫌味のある感じでは無く普通の顔で言っていた事も同様。時間を聞いた時も実際は10時なのに、9時って嘘ついていたけどそれも一足りなくしたいと言う願望から現れてしまった物と言う事ね……レタスとゼラチンの美味しい料理を食べた後牛丼の300倍楽しかったって言った後も、万物調査を2回使ってMPを300消費したって言った後にも300ではなく299も? と、聞いて来た事も、ムクバアドちゃんが進化しそうな時に進化キャンセルをしていてBを連呼していた時に、蜂の大群が飛んで来たと言う嘘を言った時も蜂ではなく七と言っていたし、自分の事を先生ではなく999生と呼べと言っていた事も、先生の先を千に変換してそこから一足りなくすれば999生になるし、全部辻褄が合う! 彼は名詞の正式名称から

【形】

で引ける場合、例えばサ→リ。ラ→フ。ミ→ニに変換し、一足りない状態にして満足し、響きで

【数字】

っぽい部分。例えばレーズンとかも、レーの部分を切り取り、0に変換。そこから一足りなくしてマイナス1ーズンと呼ぶ事で満足するのね? やっと、やっとだ……ようやく市田理論を看破したわ……成程なあ……え? どういう事? 何やねんあのおっさん……必要性がないじゃない……何でそこまでするのかは分からないけど! ……でもみんなそんな下らないしきたりみたいな物にちゃんと従ってるのはどうして? あの強気なドフキュラさんとかメデューリさんも頭が上がらないみたいよ? ……分からないわ…… でも、そこから彼が住人の誰かから恨みを買う理由にはなる……のかしら? ……分かんないよー」
トコトコ
気分転換に移動し、再び人差し指を眉間に当てる。

「じゃあ今度は市田さんの死体が発見された時の事について考えて見よっと。確か撮影したのがあるよね……これだ。ええと椅子の周りに色々な食べ物のカスが落ちていた……そして、片方口を付けられていないコーヒー、そして焼き菓子の欠片。後は焼いた牛肉の切れ端もあったし……蟹の身も落ちていた。レタゼラ、それとレーズンも……そして赤い液体もこぼれていたし……何でこんな物が同じ部屋に? 焼肉パーティーでも開いたと思いきや蟹やレーズン……この部屋で何が行われていたの? でももし市田さんが食べた物全てをこぼしたと考えるともう意図的にやったとしか思えない。と言う事は市田さんって完食する事すら嫌って事? 市田さんの中で完食が嫌だからそこから一足りない……恐らく一割を意図的に落としているって事? でも、そんな勿体ない事してたらアフリカの子供たちに恨まれちゃうじゃない? でもレタゼラもあったわ。あんなに大きくて切り分けられていない食べ物を落とすって事は間違いないわ……ある程度かじって落とした? 汚いなあ……でもその徹底的な一足りなさは恐れ入るわ……これらを同時に使う意味……でも市田さん移動しながら食べていたみたいね。あちこちに落ちている……椅子から開始したと仮定してその順番に並べてメモしてみよう」
そう言いつつ椅子からスタートし、床にこぼれた食べ物を順番に並べてみる。

「大体机の周りに落ちている。ここから推測するに、椅子から右回りか左回りしてまた椅子に戻ったって感じよ。じゃあまず机を中心として時計回りからやってみよう……ここにコーヒーがこぼれている。
次に、お菓子の破片。で、牛肉ね……で次が蟹の身ね? そしてその近くに所に赤い液体とレーズンか……コーヒー、菓子、牛肉、蟹、レタゼラ、赤い汁、多分血のりで、最後はレーズンでしょ?」
撮影した画像を見ながら考える。

「うーん分からないなあ……じゃあ逆は? レーズン、赤い汁、レタゼラ、蟹、牛肉、菓子、コーヒー……駄目だ……でもどちらかの順番で食べたのは間違いないのよ。恐らく犯人に次々と食べ物を渡されて……何の躊躇いも警戒もする事もなく受け入れた……市田さんは素直に食べていた。と言う事は、犯人は親しい知り合いの筈。でも殺意はあった筈。なのにその人間の殺意は感じ取れなかった……どうして? それにさっき私と食事をした後の筈なのに結構色々食べていたってのも気になるわ。虎ちゃんの書類でも分かるけど犯人は毒は入れていないのに市田さんは死んでしまった……まさか……本当に食べ過ぎ? 駄目だ……分からない。でも……何か目的がある筈。もしかして……そうだ、もう一度見直してみよ!」
アリサはネクロノミコンを取り出す。
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