第15話オオカミ男 × おもちゃ箱? 2

文字数 6,064文字

オオカニ男の部屋に訪れたアリリ。特定の物を見せるとその部屋の主人が動物? に変身してしまう。

「はぁはぁ疲れるカニ」

「確かに疲れそうwwお疲れ様wwww(。´・ω・)ん? これはタマゴね? 多分おもちゃだわ! あっ! この人の法則ってもしかして食べ物を見せるとそれが好物そうな生物に変身するみたいね。これ見せるとどうなるんだろ? 試してみよっと」
アリリは卵のおもちゃを見せる。

「が、がああああああおお」
モクモクモク

「マリア! 早くドリアン王子を助けに行くでっていう!」 

「わあ、爬虫類! え? マリアって私の事? 私はアリリでしょ? それにそんなイボイボした顔していそうな王子、助けに
行きたくないよ!」
ほほう、オオカニは卵に反応し、今度は上半身だけ緑色の優しい目をした恐竜に姿を変える。
相変わらず下半身は人間の状態。これは私でも見覚えがあるキャラクターであるな。
これはゲームのスウパァマリアシスターズに登場するドラゴンの吉井さんだ。
ちなみに学名と言うかそういう正式名称っぽいものが存在し、T.ヨシイザウルス・ムンチャクッパスと言う。マリアとその妹のテレーゼを背に乗せ移動したり戦いのサポートをする恐竜だ。彼は卵が好物だったのか? 確か栗とか亀、そして小さければドラゴンまでも丸呑みにする程に雑食の竜の筈だったが……因みにそのゲームの後半には、彼が居なければ秘密のエリアを進む条件を達成する事が出来ないステージまでもがある。そこでは、彼に跨った状態でジャンプし、最大まで飛んでも届かない程に遠いので、最大まで飛び切った末、マリアは吉井さんの背中から2段ジャンプする事で辛うじて届く距離。そう、目的地に到達するには確実に一匹の吉井さんの命と引き換えでなければ進めない場所もある訳だ。




このシーンは、何度見ても心が痛む……

「だ、だけど早くしないと極大魔王ワッパに王子が八つ裂きにされてしまうでっていう!」

「今はこの屋敷を見回ってる途中だから無理なのよw で、あんたは誰?w?」

「そんな質問している場合じゃないんだでっていう! あの優しかったマリアが……何でっていう?」

「質問に答えなさい! それと語尾のでっていうって何よwww」

「何もかも忘れてしまったでっていう? もう、終わりだ……マリアがおかしくなってしまったでっていう……」

「何よこの爬虫類……」

「アリリちゃん? もし彼の語尾がでっていうだと言うのなら、さっきの

【何でっていう?】

って言う部分は語尾略している疑いがあるんだよお。本来

【何ででっていう?】

 と言うのが正式な……」

「うるせえ! そんな物に正式もく〇もない!」
ポウーン

「はぁはぁ……もう勘弁してカニ」

「分かったわよ。しょうがないわねえ……あっ! あれはニンジンのおもちゃじゃん!」(これでラストだから)

「な、また見せるカニ?」

「ごめん!ww」
ニンジンを見せる。
モクモクモク……ポウーン

「ぎゃああああああああ苦しいカニ(´;ω;`)ウゥゥ」
悶絶するしながら煙を吹き出すオオカニ男。しかし……オオカニも抜けているな。
変身の条件が見る事ならば、目を閉じればよいだろうに……オオカニ男は筋肉質でクールな外見とは裏腹に内面は3枚目のキャラクターと言う事か? それとも? アリリの期待を裏切ってはいけないカニ! と、敢えて苦しいのを承知の上で見てくれているのか? そこまでは分からない。そしてここからはイメージの話だが、彼を目隠し状態にして商店街などに放り込み、そこで目隠しを取ったら一体どうなってしまうのだろう。周りに沢山の食材がある状況で見る物に変身しては元に戻る。しかもその度苦しそうにする事からも、恐らく何回も変身すれば彼の命も削られていくかもしれぬ。いずれは絶命の危険性も……この場合の死因は変身死と言う事になるのかもしれない。

「ドキドキ」
煙が晴れ、姿が露になる。

「お前なんかに負けないピョンヒヒン」
ぐ、ぐおおおおおお! これは……な、何という……出てきた生物は、今までとは法則が違う!! そう、今までは上半身だけ変身し、下半身は人を保てていた。だが今回オオカニ男だった部分が一片たりとも存在しないのだ。上半身はウサギで、下半身が茶色い毛に覆われている謎の生物が喋っているのだ! そして、その尻には馬の様な尻尾が生えている。そして、ピョンヒヒンと言う語尾から推理すれば謎は解ける。これは上半身がウサギで、下半身が馬のキメラに変身したのだ。
恐らくニンジンが一番好きな生物は一種類ではない。うさぎと馬と二種類いたのだろうな。それがきれいに半分半分で混ざってしまったから人間の部分が排除されこういうキメラが生まれたと言う事なのだろうな。一番目に見せた食べ物は恐らくホウ酸団子だろう。故にゴキブリが好きなものと判断し、上半身がゴキブリの生物になったと言う事。
そして、彼はお前なんかに負けないピョンヒヒンと言っているが、これはアリリにではなく

童話 【ウサギとカメ】

に登場する、亀とかけっこで敗北したウサギが、この世界に導かれたのだろう。下半身が強靭な馬に変わり、次こそはにっくきカメに負けないと言う意気込みを亀のように小さいアリリに向け放ったと言う事なのだ。そう、ウサギは自分の体の起こった異質な変化を一切動じず、逆に幸運として受け入れ、このパワーアップした体さえあればいける! と、ポジティヴに捉えたのであろう。なんとしても勝ちたいと言う意気込みがたったの一行からも伝わってくる。まあ敗因は自身の身体能力の低さではなく完全に対戦相手を舐めてかかっていた横柄さと、睡眠不足からくる油断だった訳で、体を強靭にする必要性は無いのだが、ウサギの脳は人間の140分の1と言われている。その程度の脳では敗因を考え改善するまでには至らなかったと言う事だな。

「私はあんたと勝負する気はないの! でもあんた凄いわね。なんにでもなれる! 人って頑張ればどんな物にでも変われるんだ! って思わせてくれる稀有な存在だわ。でも異質すぎるからファンタジーの世界に帰りなさい!」
ポウーン

「ハァハァ……人をさんざん玩具にしておいてその言い草は酷いカニ」

「まあそうだけどさ、良く考えてみて? ここって何の間?」

「ハァハァそんなの玩具の間に決まっているカニ! 馬鹿にしないで欲しいカニ」

「だったらそこの住人として、その名に相応しい状態。そう、お客さんに玩具扱いされる事って考えてみればいいじゃないw」

「な? 確かにそうだ! 流石アリリちゃん!」

「くぅーこれは一本取られたカニ……ギャフン……グーグー」
バタッ
床に倒れてしまうオオカニ男。アリリの理路整然とした指摘に納得し安心したのか? 気絶したようだな。大の字になり鼻ちょうちんを出しながら眠ってしまった。

「あらあら眠っちゃったわwまだ夜はこれからなのにww」

「仕方ありませんよ。少し休ませてあげましょう」

「そうよね。他には……ん? あれは?」
テレビゲームのソフトが本体と一緒に置いてある。まあここはおもちゃの間であるから特別珍しい事ではないな。

「な? こ、これはカフムーチョラグーン? 何でここに?」(おかしい……これがここにある筈はないんだ!!!)
いつにない険しい表情に変わる市田。

「分からないわ? でもこれそんなに驚く事なの? おもちゃの間なんだからおかしくないと思うわ……ってこれカフムーチョラグーンじゃないよ? カラムーチョラグーンって書いてあるよ?」
カセットのタイトルが書いている部分を見せつつ指摘するアリリ。

「そうなのかい? ハァハァ」

「ん? 市田さん何で汗かいてるの? ただのゲームソフトだよ?」

「そそそそそんな事ないです……これは暑いから出た汗です。決して冷や汗ではないんですよ絶対!」 

「そう? 他にはあ……あっ? ラジコンじゃん!」
ダダダダダッ

「遊んでもいいですよ。ですが正確にはフジコンなんですがね」
何を言っているのだこの男は? それではルパソ三世のヒロインの藤子峰フジ子がメカ化したようなキャラクター名ではないか!!

「やったあ……あれえ?」

「な? どうかしましたか?」

「よく見たら飛行機が止まっている所もその隣のラジコンが止めてあるところにも市田さんの顔が描いてある……なんで?」

「ま? ……はて? 何でこんな所に?」

「聞きたくてもこのカニまだ寝ているものねえ。市田さん覚えはないの?」
カニではなくオオカニ男である。

「覚えはないよ……おっと、知らないよ」

「あら? 言い直したりして……どうしたの?」

「お? で、でもオウム返しが気になるってアリリちゃんが言っていたからさ。ちょっと言い方を変えただけだよ」

「まだそんな事気にしてたんだ。別にいいのに」

「そうかい? 私の気にしすぎだったか」(なんだ、そこまで気にしていないのか。よかった……)

「まあいいや動かしてみよっと!」
車と飛行機のラジコンのリモコンが置いてある。まずは飛行機の方のコントローラーを持ち起動させ、同時に歌い始める。

「君と出会ぁーった奇跡がぁーこの脳に溢れてるぅー♪きっと今はー自由にー空も跳べる箸ー♪」
ブーン

「今ここでか……」

「ああ、つい【スパッツ】の空も跳べる(はし)が出ちゃったわあ」
ラジコンを操作しながらそれに相応しい曲を瞬時に歌えるのはすごいと思う。だが、そろそろ読者諸君も同じパターンに飽きてしまいそうであるぞ! そろそろ控えるのだ! アリリ!!

「アリリちゃん? ちょっと質問」

「え?」

「空を飛べる筈じゃないんだねえ?」

「そうよ! 君と出会った奇跡が脳に溢れた瞬間に、カレーうどんを食べていた主人公はその箸の上に乗って空すら飛べるんじゃあないかあ? って思ったワンシーンをスパッツのヴォーカルの草野ムラマサが歌詞として思い付き世に出した訳」

「なる!」

「でも操縦楽しいわwwじゃあ車の方も遊ばせていただきまーす」

「おうよ!」

「出発!」
ギュルルルル ゴリゴリ
ラジコンが走り出す。そして既に削られ無残な姿になっていた床の市田の顔が更に削れる。

「え? ちょっと待って? タイヤめちゃくちゃ尖がってる」

「な? これは一体」
ラジコンのタイヤはスパイクタイヤだった。市田の顔を形成していたペイントが、タイヤのすさまじい回転により削り落とされている。

「ま、まさか……」

そして思い出したかの様に先程遊んだ飛行機の車輪を注目する。するとやはり予想は的中していて、飛行機のあの小さいタイヤまでもがスパイクタイヤであった。だが、アリリは垂直で飛ばした為、顔に傷は付かなかったようだが……それでも他の客が走らせたのかは分からぬがラジコンカー程ではないがうっすらと市田の顔の書かれた床は傷は付いていた。どうしてだろうか?
「このタイヤって滑りやすい所を走る時に付けるタイヤでしょ?」

「そ、そうだと思うけど……」

「これじゃまるで……」

「これじゃまるで?」

「ブル……何でもない」

「ブル……そこで言わないのか……怖いよ。気になるよ!」

「気のせいだと思うし」

「本当ですか?」

「で、後は……あれ? ロボットじゃない?」

「プフモデルの様ですね」

「プフモデル? プラモデルでしょ? でさ、あの3体の……ガンバレじゃない? ゼータガンバレやダブルゼータガンバレもあるよ? ……きゃああああああああああああ」

「ブル」

「あ、あったよ……こんな所にぃ……」

「何がですか?」

「く、首よ」

「誰のです?」

「行方不明の市田さんの人形の首がよ」

「ま? こんな隅に……で、どうして悲鳴を上げたんですか?」

「だって……見れば分かるよあれを見て!」

「な? こ、これは?」


「三体のガンバレ達、ビームマサムネでその首を突き刺されているのよ!」
それは、おぞましい光景だった。小5の女子ならば失神してもおかしくない位に。
無くなっていたと思われていた市田の人形の顔に、三体が向き合い、ビームマサムネを突き刺した状態で止まっている。
心なしか三体とも満面の笑みを浮かべてる感じさえする。

「な? 何でこんな状態に?」

「だよね……」

「もしかしたら」

「なに?」

「この三体がチャンバラをしていた時に転がってきて、丁度刺さってしまったのでは?」

「そ、そう?」(あのオオカニがこれで遊んでいた時に? まあ可能性は0ではないかもだけどぉ……そんな状態で固定されているこの現状なんて限りなく0に近いわよ……)

「そうとしか考えられませんよ」
そうであろうか? 

「他には……でもさっきのブティックに劣るかもだけど、ここもここで怖いわね……あれは?」
ゴルフの芝生がある

「あれはゴルノのパタの練習のグリンだよ。そこで私も練習しているんだよ」

「ゴルフするんだ(ゴルノ? ゴルフだよね? それにパタのグリン? パターにグリーンでしょ? 何でこんな言い方なの? この人?)」

「この家ではゴルノだねw」

「で、お上手なの?」

「それがさ、とっても嬉しい事に毎回バディーで収まるんだよwww嬉しいよおおwwww」
フム、気持ちの悪い男である。

「へえ、確かバーディーってそのコースの規定打数よりも1少ない打数でホールアウトするって事よね?(それで嬉しいんだ……イーグルとかアルバトロスの方がいい成績なのに……)」

「な? 詳しいねえ(ほ、ホルアウト? どういう意味だっけ……でもなんか恥ずかしいから聞きたくないなあ)」

「DAN DOH‼‼‼‼ってゴルフのアニメで覚えたんだw実際やった事はないよw」

「なる!」

「♪ウィーアゴーインオン! 迷いなんて全部拾ってー♪君の描く 過去へー翔(かけ)てゆけー♪」

「今ここでか……」

「この曲も熱いのよねー。ゴルフの曲とは思えない位にね! だからついつい口ずさんじゃうのよw」

「ま? そんなにいいならちょっと聞いてみようかな?」

「そうだよ? 他にもね、ゴルフと言ったら藤子不死身のサルゴルファープロとかの曲も熱いのよね! 行くよー♪」

「NO!」

「え? なんでよ! おかしいでしょ? この流れで止めるなんて! 黙って聞け!!! こほん……跳べ! 早く強く高くー♪飛べ! 速く強靭(つよ)崇高(たか)くー♪雲を裂きー嵐を呼んでー夢ーを夢を夢ーをおおおおおおお夢を勝ち取ろうーデデデッデデッデー♪デデデッデデッデーデデデッデデッデーデーデーデー♪」

「わ、分かったから……夢を勝ち取る為にも後でちゃんと聞くからそろそろ抑えて欲しいんだよ。DAN DOH‼‼‼‼だっけ? それも聞くからさ、勘弁してくれないかい?(何でこんな歌うんだあ?)」
厄介な幼女である。

「わかればいいのよ」

「他に気になるところは?」

「うーんこの辺でいいか……ここは……41かな?」

「ま? 初の40越え? じ、じゃあそろそろ次の部屋に行きましょう(また謎の数字だあ。気になるよおおぉ)」

「はいっ!」
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オオカニ男が食べ物を見て変身する事にしたのは理由があります。もう少し後にはなりますが、そこで明らかになります。
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