第22話 ミユル皇太子を情報分析する

文字数 573文字

 俺と大津は、その地域セルとか言う人の分析を、待っていた。
 その間、大津はスマホをいじり、今日のうちの学校で行われる(というか眼下に見えてるんだけど)「日本・ルボシア共和国・国交樹立80周年記念式典」の公式ページを見ていた。
 式次第のうち、午前9時半から行われるのが、ルボシア共和国のミユル皇太子によるご挨拶だ。俺はあんまり興味が無かったから、今まで顔写真もろくろく見てなかったが、大津がチラリと俺に見せる。
「優しそうな、お顔の方ですよね」
 こういうご身分の方にしては、まだお若いのだろう、30才くらい。恰幅がいいと言うんでしょうか、頬がふっくらして、目は確かに穏やかだ。当たり前だが育ちががっつり良さそうで、芸能人で言う「宣材写真」みたいなその肖像は、俺に好印象を持てと、激しく迫ってくるような、好青年だった。
「この方は、筋金入りの平和主義者で、国連で世界平和を呼び開ける演説も、しているくらいです」
「ふーん」
「現国王は65才で、皇太子の叔父上です。筋金入りのベテラン国王で、策士とか寝業師とか、硬軟織り交ぜて国益のためなら何でもする男とか、いろいろ言われています」
「はあ、はあ」
「少しずつ、読めてきましたよね」
「分かりません…俺アホやけえ」
 そんな会話をしてるところで、大津のスマホが鳴った。どうやら依頼した暗号の解析が、終了したようだった。
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