第2話 昼下がりの教室で思索中

文字数 817文字

 翌日の授業(じゅぎょう)は、普通に終わった。
 俺はいつも窓際(まどぎわ)の席を取るのだが、晴れ渡る青空、今日の練習、今週末の湘南(しょうなん)工業高校戦、大津や麗奈の事、迫りつつある大学受験、その他色んな事を考えたり感じたりしながら、うつらうつらしていた。
 俺はこの湘南(しょうなん)宝光(ほうこう)学園が、好きだ。ただ、今日何の授業を受けたかは、よく覚えていない。シャーペンを鼻と口の間に(はさ)み、タコみたいな口をして、ひたすら外を(なが)めていた。
 校庭と、道一つ(はな)れた砂浜、そして海岸。好き。
 今日は金曜日だ。日曜日は正月の国立(こくりつ)に通じる選手権(せんしゅけん)地区(ちく)予選(よせん)。本校のグラウンドだ。あと10回ほど勝てば、高校日本一だ(ムリ)。
 明日は校庭はこの学校法人にゆかりの深い東欧(とうおう)のルボシア共和国がらみの何かの記念(きねん)式典(しきてん)があって、グラウンドで練習はできない。

 俺はサッカーで大学に進めるほどの実力はないし、もちろんJリーグに入れるわけもない。
 学力だって、東大に行ける(ほど)ではない。
 でも和瀬田(わせだ)とか慶心(けいしん)なら、まかり間違(まちが)えば入れるかも…ってとこ。
 言うて俺、そこまで頭悪くないのよ~。どう? 見直した? エへッ。…でも、浪人(ろうにん)するのかなあ…。そのどっちかあたりに引っ掛からなければ、現役(げんえき)では、大学に入ってやらんつもりだ。ワシは決めとる。
 あー、でもでも。どうしよっかなあ…。
 ぶっちゃけ「妹と同学年になるのが、非常に(いや)」なんよね。年子の妹がいる兄以外には、絶対に分からん気持なんだろうけど…。
 平和だなあ…。今見えてる青空になりたい、白雲になりたい。気持ち良さそうに飛んでるカモメになりたい、(きら)めく海になりたい(湘南宝光学園も、俺ん()と同様ほぼ海沿(うみぞ)いにあった)、(よう)するに、俺以外の何かになりたい。
 今が非常に充実しているわけじゃあないけど、このまま時間が、永遠(えいえん)に止まって欲しい…。
 ハーどうしましょ、どうしましょ。私はこれからどうなるの? (など)と考えているうちに、授業は終わった。
 今日も何か学んだ感じ、しなかったなー。テヘッ。
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