第10話 蛇とカエル

文字数 584文字



 わたしの実家は、かなり田舎にある。
 大学の夏休みに帰省した。
 実家についたのは夜のことだ。

 家の前に、小さな蛇がいた。
 黒くて、とてもキレイな小さい蛇。
 太さは、わたしの小指ほどもない。
 わたしが見ていることに気づいたのか、蛇は草むらに隠れた。
 そのあと、自分の部屋に入ると、ベランダの植木鉢のところにカエルがいた。白くて、これまた、キレイなカエル。
 田舎では、蛇もカエルも、よく見る。
 わたしは、とくに気にしなかった。

 翌朝になると、蛇もカエルも消えていた。
 もしかしたら、夜のうちに、カエルは蛇に食べられてしまったかもしれない。ちょっと、かわいそうな気がした。

 その直後、祖母が布団のなかで冷たくなってるのが見つかった。とつぜんの死だ。

 急なお通夜。
 急なお葬式。

 忙しい数日のあと、初七日の前日に、わたしは夢を見た。
 祖母が枕元にすわり、こう言うのだ。
「なんで、あのとき、助けてくれなかったんだい。おまえなら助けられたのに」

 なんのことだか、さっぱり、わからなかった。

「おまえは、あいつを見ただろう?」
「あいつ?」
「いいかい。次はおまえの番だからね」

 気がつけば、明けがたになっていた。

 あの夢で、祖母が何を言いたかったのかはわからない。
 ただ、あのあとすぐに、わたしの体には異変があった。
 背中にアザが表れたのだ。

 それは、まるでカエルのような形をした……。
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