第9話 わたしにだけ見えない

文字数 328文字



 中学のとき、うっかり妊娠してしまった。
 そのときの彼が、ネットで怪しい堕胎薬を買って渡してくれた。
 薬を飲むと、生理痛のような痛みがあり、すうっと赤い血が流れた。
 形のわからない変な肉のかたまりが、血まみれで出てきた。
 わたしは、それをビニール袋に入れて、近所の河原に埋めた。

 でも、やめとけばよかったかなと思う。

 あれ以来、わたしは彼氏ができない。
 わたしが好きになった人たちは、みんな、わたしを見ると悲鳴をあげて逃げていく。

 その人たちは言う。
「君が悪いわけじゃないんだ。君は、すごくステキだし、いい子なんだよ」

 じゃあ、なんで?

 その人たちによれば、わたしのあとを、ずっと、ついてくるものがあるらしい。

 血まみれの肉塊が、ズルズルと、這ってくる——
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