第2話:興味深い友人ができる

文字数 1,629文字

 すると、お茶とせんべいとビスケットを出してくれた。僕は、訳あって1人ぼっちなんだ。暇だから遊びに来てと優しく語った。その時、訳って何と、柳橋は、つい質問してしまった。これに対し、松平富二さんが、家は、僕の両親の家だが事情があって、両親は、アメリカに住んでいると話した。その話を聞いて柳橋は、松平さんに興味を持った。

 そして、1,2ヶ月に1回、訪問し、宿題でわからない箇所を教えてもらった。そして、次第に仲良くなっていった。松平さんが、僕は、徳川家の親戚筋の松平家の出身、両親は、以前、日本のアメリカ大使館に勤めていた外交官。事情があり両親と兄は、アメリカ国籍を取って向こうに住んでいる。自分の兄さんの富一さんは、大手商事会社に勤めてアメリカに赴任。

 その後、アメリカの金融街「ウオール街」で働いて米国人女性と結婚したと話した。松平富二さんは、明治大学経済学部を卒業して大手銀行に勤めたが、銀行の厳しいノルマを達成できず退職させられた。そのため、この家で静かに暮らして自宅で中学生や高校生を相手に塾を開いて、土曜、日曜、自宅で塾を開き主要5科目を教えていると話した。

 1978年11月、松平は、ソニー株を615円で、1万株、615万円で購入、投資残高が995万円となった。その後、1982年4月、柳橋卓二が、中学に入学。通学途中、松平さんの家の前を通り過ぎる時、松平富二が、朝ラジオ体操をしていて、おはようと声をかけた。それに対し、ただ、柳橋は、おはようと返した。

 しかし、彼の優しそうな笑顔が、不思議に柳橋の心を和ませてくれる。その後、日本株投資で稼いで食べていると笑顔で話した。柳橋が、家に帰り、その話を両親にすると、松平さんは、きっと裕福な親に仕送りしてもらって暮らしているじゃないと語った。詳しくは、知らないけれど、と母が、柳橋卓二に伝えた。

 でも、毎朝、体操しながら、おはようと笑顔で声をかけてくれ良い人だよと卓二が、反論。「そうね、確かに品が良くて挨拶もするし悪い人ではないようだけれど、風変わりな人だ」と母が、述べた。この話を聞き、柳橋の父は、数年前、ご両親と、お兄さんが、アメリカに渡ってしまい、彼は、独りぼっちで生活してると聞いてると告げた。

 母に、今後、彼と、つき合っても良いかと聞くと駄目とは言わないけれど、この家に連れてこないでねと語った。その後も中学登校時、松平さんは、柳橋に挨拶した。君が、暇な時、家に遊びに来てと誘った。その後、柳橋が彼の家に行くと素敵な音楽が流れていた。その後、1981年10月、ソニー株が上昇して売りと証券会社の担当者から松平に電話が入った。

 そこで、2660円で、全株、1万株を売り、税引き後利益2405万円で口座残高が3400万円となった。やがて1982年となり、柳橋は、今年4月、中学2年生になる。松平さんの所へ行くと必要なら高校受験の勉強も手伝うと言ってくれた。そして1982年4月下旬から毎月、平日の午後、松平富二さんの家を訪ねた。

 その時、庭を見て素晴らしい竹林ですねと言うと、いや竹林じゃない。ただ、伐採しなかったので、竹が増えただけだと笑った。この年、地元の工務店に依頼して竹林の整備工事を100万円で依頼し1週間足らずで、きれいになった。もちろんタケノコは、ありがたくいただいて食べるけどねと笑った。

 そして、珈琲と紅茶どっちが良いと聞かれ、紅茶と言うと、本格的なガラスのティーサーバーで紅茶を入れてくれた。松平が、腹減ったろと言い、菓子パンを持ってきた。次ぎに、素敵な洋楽を聞かせてあげようと言いビートルズのレコードをかけてくれた。

 この曲、知ってると柳橋が言うと、そうかと笑った。次ぎにポールモーリアの音楽も聞かせてくれた。そのステレオも、ターンテーブル、プリメインアンプ、大型スピーカーも全て一流品。またオープンリール・テープデッキも持っていてレコード棚に多くのレコードが並んでいた。
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