第26話「最終章」:松平と柳橋が東京を離れ鴨川へ

文字数 1,726文字

 2019年7月18日の昼前、京都アニメーション第1スタジオに男が侵入。バケツからガソリンを建物1階に撒いてライターで着火し、全焼。その結果、スタジオは全焼、社員36人が死亡、33人が重軽傷と過去にない大惨事となる。この有名アニメ制作会社の大量殺人事件は、世界に衝撃を与え、総理大臣や海外政府要人、著名人から弔意が寄せられた。

 世界中の言語による追悼の声が上がった。国内外からの寄付金は30億円を超えた。被疑者の男も犯行時に重傷を負い、事件直後に身柄を確保され、約10カ月にわたり入院した後に逮捕・起訴された。この事件後、消防庁および警察庁は、ガソリンを容器で販売する際の販売記録を残す方針となった。

 そして、7月25日に消防庁から各都道府県の防災部署、消防機関のほか、石油の精製や元売りの業界団体である石油連盟や、ガソリンスタンドの業界団体である全国石油商業組合連合会宛てに通達が、警察庁生活安全局から各都道府県警察等宛に事務連絡が行われた。2019年10月1日から、日本の消費税率が、10%に引き上げたれた。

 同時に一部の商品は、税率を8%に据え置く軽減税率制度を導入。消費税引き上げに伴い、生産性向上と利便性向上を目的とした「キャッシュレス・消費者還元事業」が開始。店舗によって指定されたキャッシュレス決済で支払う事で、2~5%のポイント還元の優遇制度、または、即時値引きが適用される。この様な優遇措置が、2020年6月までの救済措置が講じられる。

10月12日の夕方頃、令和元年東日本台風「台風19号」が、日本の伊豆半島に上陸、その後首都圏を直撃。同年の9月9日に上陸した房総半島台風と比較すると約6倍の大きさの台風で、関東地方における雨量と風速は、観測史上最高の記録を更新。大雨特別警報が静岡、関東,山梨、長野、新潟、福島、宮城、岩手で発令。

 また、長野県の千曲川では堤防が決壊。その他の多数の河川でも氾濫が起き多くの地域で大規模な浸水など未曾有の災害が発生。同時に首都圏を中心とした約37万戸以上の大停電。10月末、沖縄県那覇市の首里城で火災が発生し全焼した。やがて2019年が終わり2020年へ。

 松平富二は、2020年1月17日で、来月で、70歳を迎えるが、奥さんの益美さんと話し合って、南房総の鴨川にある亀田総合病院が検診に来るの高齢者マンションに移住すると話した。そして、「NPO自立村」を松平富二君が柳橋に委譲を提案し同意された。この頃、NECでも不景気で早期優遇退職制度が発表され、柳橋夫妻が、退職を決意。

 それを聞き、松平は、「NPO自立村」を柳橋に委譲すると伝えた。それを聞き柳橋は、松平の申し出を快諾。3月、ハイエースワゴンで、松平夫妻の引っ越しを手伝った。この頃、上総湊の福祉寮の運営は、パソコン作業の仕事が順調。

 敷地内の食堂兼、調理センターでの宅配弁当の販売も軌道に乗り黒字になり「NPO自立村」の資産は、増加。しかし、4月を過ぎると新型感染症患者が、都会中心に急増。そこで、松平も東京の狛江の実家を賃貸住宅にして、柳橋の住む、鴨川の大きな農家を購入して、両親とともに住む事を両親に提案。両親が同意。5月の連休に鴨川の農家を探した。

 そして以前、上総湊で、アパートを建設した会社に改修工事を依頼し、3千万円で、改装できると言われた。その後、9月に完成して、柳橋家出でも東京から鴨川に移住。柳橋の家から柳橋の高齢者マンションまで車で10分で、毎週1,2回、柳橋のハイエースで、買い物に出かける生活を開始。新しい家から海の景色がきれいで気持ち良い。

 また、米、野菜、果物、魚なども安価で旨いのも実に良い。夏は、窓を網戸にして、涼しい潮風を家の中に入れて過ごした。やがて秋が来て、11月に新型感染症に対すると予防薬の製造予定がたち、最初にイスラエル、英国、米国から開始されることが決定。

 やがて2021年を迎え、初日の出を見ながら、新型感染症が、なくなりますようにと、海に上がる朝日をながめていた。すると、柳橋光子さんの脳裏に、柳橋富二の求婚、子供の誕生、上総湊のアパートの完成などが映画のシーンの様に浮かんできた。「完結」
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