第21話:柳橋活一が、北米留学と世相

文字数 1,667文字

 そして2014年が明けた。2014年2月ウクライナで、親ロシア派のヤヌコビッチ政権が、反政権デモで崩壊。親欧州連合派政権が発足。そのため、ロシア系住民が、多数を占める南部クリミア半島にロシアが軍事介入。その後、3月、南クリミアをロシアに編入させた。このロシアの武力を背景に領土拡大を強行した行動に冷戦後の国際秩序は大きく揺らいだ。

 その後、ウクライナ東部でも、ロシアが後ろ盾の親ロシア派武装勢力と政府軍が激しい戦闘を続け、死者は4千人を超えた。7月には東部上空で、マレーシア機が撃墜され、298人が死亡する悲劇も起きた。欧米や日本は、ロシアが事態収拾に応じていないとして制裁を発動している。

 6月、イスラム過激組織「イラク・シリアのイスラム国」が、イラク第2の都市モスルを制圧。指導者のバグダディ容疑者をカリフ「預言者ムハンマドの後継者」とする「イスラム国」の樹立を宣言。シリア内戦でアサド政権の統治が及ばない北東部やイラクの北西部で活動し、少数派や他宗派の迫害などの残虐行為を続けた。

 米軍は8月、イラク領内でイスラム国を標的とした空爆を開始。オバマ政権は有志連合を形成し、9月に開始したシリア空爆にはサウジアラビアなどの中東諸国も加わった。イスラム国は3万人超の戦闘員を擁するとみられ、壊滅には数年を要する見通しだ。

 2014年は、柳橋卓二の息子の活一が、大学受験の年となるが、成城学園大学に入学することを決めて書類を提出して、進学を決めた。そして、2015年か2016年のどちらか、カナダか、アメリカに留学したいと述べたので、柳橋卓二が了解した。そのためにTOEFL「トフル」テストを受けようと考えた。既に、英語検定の準1級試験に合格し自信を持っていた。

 ちなみに、英語の実力判定テストには、他に、3つがあり、それは、英語検定、TOEIC「トーイック」である。TOEFL「トフル」の活用目的は、海外留学であり、試験科目は、読む、聞く、書く、話す問題。試験時間が3時間で、年間40回以上と頻繁に実施されている。英語をまるで外人の様に使いこなす能力を要求される。

 一方のTOEIC「トーイック」の活用目的は、主に就職である。試験科目は、聞いて理解「リスニング」と英語を読み能力「リーディング」。年間10回のテスト回数。よう供される能力は、英文法と外人の話を理解する「リスニング」の能力を要求される。そのため、活一は、TOEFL「トフル」の本を購入して勉強を開始した。

 2014年12月11日子供の教育の権利を訴えてきたパキスタンの教育活動家マララ・ユスフザイさんがインドの児童人権活動家カイラシュ・サティヤルティさんとともに、ノーベル平和賞を受賞した。17歳での受賞はノーベル賞全部門を通じて史上最年少。マララさんは、女性の社会進出を否定するイスラム武装勢力タリバンに抑圧された学校生活をブログにつづった。

 そして、女性の教育の権利を訴えてきた。2012年10月、タリバンに銃撃されて、頭部に重傷を負ったが、奇跡的に回復。受賞演説では、全ての子供が学校に行くまで、活動を続けると誓い、「これが子供の教育のための最後の闘いとなるよう望む」と述べた。この出来事が、世界中に知れ渡ると世界中に衝撃が走った。

 ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんに抗議するかのように、パキスタン北西部ペシャワルで、5日後、2014年12月16日、イスラム武装勢力「パキスタン・タリバン運動」が軍運営の学校を襲撃し生徒ら140人超が死亡。パキスタン軍は6月以降、北ワジリスタン地区でTTP掃討作戦を展開しており学校襲撃は、その報復とみられる。

 シャリフ首相は「子供を標的とした残忍な事件だ」と非難。「テロ組織を駆逐するまで軍事作戦を継続する」と述べ、掃討作戦を強化する意向を示した。パキスタン・タリバンと関係が深い隣国アフガニスタンの反政府勢力タリバンも「罪のない人々、子供や女性を故意に殺害することはイスラムの基本に反する」と異例の非難をした。
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