第24話:トランプ大統領、金正男の暗殺

文字数 1,633文字

 7月26日未明、相模原市緑区の知的障害者施設「津久井やまゆり園」にナイフを持った男が侵入し、19~70歳の入所者男女19人を殺害、27人に重軽傷を負わせた。神奈川県警は殺人などの容疑で元職員植松聖容疑者を逮捕。同容疑者は同施設に非常勤職員として勤務していたが、2月に「重度障害者を殺す」と話したため施設が県警に連絡、退職扱いとなった。

 妄想性障害などと診断され措置入院となったが、その後入院の必要性は消失したとされ、3月に退院していた。しかし逮捕後も「障害者は社会を不幸にする」「国が許可してくれなかったので仕方なくやった」などと常軌を逸した独善的主張を繰り返しており、横浜地検は9月以降鑑定留置して精神鑑定を行い、刑事責任能力の有無を調べている。

米共和党のドナルド・トランプ氏が、11月8日投開票の大統領選で、民主党のヒラリー・クリントン前国務長官を破る番狂わせを演じた。排外的主張を掲げ、暴言も辞さない実業家のトランプ氏は、既存政治への不満を吸い上げて「トランプ現象」を巻き起こし、ポピュリズム「大衆迎合主義」の台頭を印象付けた。

 トランプ氏は、メキシコ国境への壁の建設で不法移民対策を唱え、在日米軍の駐留経費の全額負担を求める考えも表明。就任初日に実行する政策として、環太平洋連携協定からの離脱を挙げた。その後も「一つの中国」政策に縛られる必要はないと述べ、台湾の蔡英文総統と電話会談するなど、型破りな言動を続けており、米国の動向をめぐり不透明感が深まっている。

 北朝鮮の故金正日朝鮮労働党総書記の長男で、金正恩党委員長の異母兄・金正男氏が、2017年2月13日、マレーシアのクアラルンプール国際空港で女2人から顔に液体を塗り付けられ殺害された。遺体からは化学兵器の神経剤VXが検出された。化学兵器を大量に保有し、正恩体制の正統性を脅かす恐れがある正男氏を敵視していた北朝鮮当局の関与が疑われた。

 逮捕・起訴されたベトナム、インドネシア国籍の実行犯2人は「いたずら動画への出演と思っていた」と無罪を主張。黒幕とみられる北朝鮮国籍容疑者への捜査協力要請を北朝鮮側は拒否し、マレーシアとの関係が悪化した。北朝鮮が事実上の人質としたマレーシア人9人と正男氏の遺体を交換する形で決着したが、事件の真相が解明される見通しは立っていない。

 2017年7月10日、日本人を含む外国人人質殺害事件や欧米諸国での大規模テロを引き起こして国際社会を震撼「しんかん」させた過激派組織「IS」は2017年、米軍主導の有志連合などの支援を受けた地元勢力の作戦によりイラクとシリアの大半で駆逐された。ISの2大活動拠点だったイラク北部モスルとシリア北部ラッカも陥落し、組織としては事実上崩壊した。

 ISは14年、イラクとシリアで急速に伸長した。指導者バグダディ容疑者はイスラム教の預言者ムハンマドの代理人「カリフ」と称し、一時は両国にまたがる広大な地域を支配する疑似国家を構築。恐怖支配体制を敷いた。異なる宗教・宗派や文化を敵視するISの過激思想は現在も拡散したままで、世界各地で共鳴者によるテロの脅威が続いている。

 ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均の終値は2017年11月30日、史上初めて2万4000ドルを突破した。トランプ米政権が1月に発足。政権の積極的な経済政策を期待した「トランプ相場」に市場は沸き立ち、1月に2万ドルの大台に乗って以降、1年を通じて最高値を繰り返し塗り替えた。米国や中国など主要各国の経済が軒並み好調を維持し。

 米企業で好決算が相次いだことも追い風となった。さらに政権が11月、中央銀行に当たる連邦準備制度理事会「FRB」の次期議長に財務次官や投資ファンド共同経営者を歴任したパウエル理事を指名したことも株価を支えた。現執行部からの昇格により、イエレン議長「来年2月に退任」の経済政策が踏襲され、低金利環境がしばらく続くとの安心感が市場に広がった。
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