第18話:東日本大震災と原発事故

文字数 1,774文字

 2011年が、明けて、息子の柳橋活一が、成城学園高校を受験して合格を勝ち取った。制服に身を包み学校に出かけていった。活一は、外国語に興味を持ちNHK教育放送の英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語講座を聴き、英語とスペイン語に、特に興味を持ち、会話の本を父に言って、買ってもらい勉強していた・

 北アフリカや中東のアラブ諸国で2010年末から11年にかけ「アラブの春」で、独裁体制崩壊。独裁的な政府に対し政治の改革や指導者の退陣を求める民衆抗議行動が相次ぎ、チュニジアのベンアリ大統領とエジプトのムバラク大統領は辞任に追い込まれた。リビアでは最高指導者カダフィ大佐の長期政権と反政府勢力との間で死者推定2万人を超える内戦に発展。

 欧米の軍事介入を経て政権は打倒され、カダフィ大佐も死亡。いずれのケースも公正な選挙を経ずに権力の座に居座り続ける指導者で、政治の腐敗、高い失業率、治安機関を駆使した抑圧的統治などに対する国民の怒りが爆発した。運動は、アサド家が父子2代にわたって統治するシリアにも飛び火し、内戦化が進んだ。

 日本では、2011年3月11日14時46分、宮城県沖で国内観測史上最大のマグニチュード9の巨大地震が発生。15時半前後には大津波が沿岸部を襲った。宮城、岩手、福島の3県を中心に死者は約1万5800人、行方不明者は約3500人に上った。東京電力福島第1原発では電源が止まり、原子炉は冷却機能を喪失。核燃料が溶け、1~3号機は炉心溶融が起きた。

 一、三、四号機は水素爆発により原子炉建屋が大破。放射性物質が大量に放出される最悪の事態に陥った。国の調査で青森から千葉までの6県の浸水面積は561平方キロ。津波はすさまじいエネルギーで家屋や港湾、工場施設などを破壊。政府の試算では、地震・津波による住宅などの直接的被害は16兆9千億円に達する。

 ピーク時には約47万人が避難し、国内外から支援の手が差し伸べられた。原発事故に見舞われた福島県では警戒区域「半径20キロ圏」への立ち入りが制限と除染作業が行われた。放射性物質に汚染された農産物が関東見つかるなど農林水産・畜産業も大打撃を被った。政府・東電は「冷温停止状態」を宣言したいが廃炉迄には30年以上かかると見られる。

 東京電力福島第1原発の事故を受け、欧州各国でも脱原発の動きが強まった。電力の23%を原発に頼るドイツでは7月、国内にある17基の原発全てを2022年までに廃止する内容の改正原子力法が成立した。1990年にいったん原発を廃止しながら、電力自給率改善を目指し原発推進再開を目指していたイタリアは、6月の国民投票で原発新設計画を否決。

 スイスでも9月、原発を34年までに全廃する政府計画が議会で承認された。欧州では86年のチェルノブイリ原発事故以来の脱原発傾向が近年、地球温暖化防止で二酸化炭素排出を抑える必要もあって原発回帰へと転換していたが、福島原発の事故はこの流れを180度変えた。東日本大震災や欧米経済の先行き不安などを背景に円相場が歴史的な高水準で推移。

 輸出企業の海外移転による国内産業の空洞化に懸念された。最初の円急騰は3月17日。震災前は1ドル82円前後だった円は、投機筋の思惑買いで76円25銭を付け、1995年に記録した戦後最高値「79円75銭」を16年ぶりに更新。翌日にG7は、11年ぶりの協調介入に踏み切った。その後も日米金利差の縮小観測や欧州債務危機を受け円買いに向かう流れが継続。

 10月31日には一時75円32銭。政府・日銀は連続し単独円売り介入を実施。介入額は1日最大の7兆7千億円程度と推計されたが、円高基調に大きな変化はなかった。その後、柳橋卓二と松平富二は、「NPO自立村」として東日本大震災の募金活動をして集めた1千万円と「NPO自立村」の3千万円の合計3千万円を支援団体を通じで送金した。

 その頃、米軍は2011年5月1日、パキスタンの首都イスラマバード北方50キロのアボタバードで、2001年の米同時テロの首謀者、国際テロ組織アルカイダの首領ウサマ・ビンラディン容疑者の潜伏先を急襲、同容疑者を殺害。オバマ大統領は緊急声明を出し、「米国はやると決めたことは何でも達成する」と10年間続いた米国の対テロ戦争で最大の成果を誇った。
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