３０

何年も時が止まった
くたびれたカバンを
やっと捨てる決心をして
開けるポケットの中に
一枚の見慣れぬコイン
どんな理由で
ここに辿り着いたのか
わからないけれど
陽の目をみれておめでとう
でも僕にはいらないかな
君と仲良くなれそうもない
どこかの国のお金らしいから
次の場所で出会った
募金箱へ入れよう
多分どこかの国の偉い人の横顔
君は生まれてから今まで
どんな場所でどんな旅をしてきたの
きっとたくさんの人の手を渡って
何かの拍子でうちに来たのに
何年も暗闇の中に放置して
本当にごめんね
あと何人かの手を介して
君が元いた国に帰れるといいね
それを心から願おう
こんなご時世にちょっと楽しい旅気分を
どうもありがとう
さよなら元気でね