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文字数 305文字




持っていた灯りは
いつのまにか
電池がなくなり
足元も灯せず
最後の頼りの
火をつけたロウソクも
あと少しで
僕の手元から
なくなっていくだろう
何もなくなったら
雲が晴れたように
視界が変われば良いけど
きっとこのままなんだと
鏡の向こうの僕は
ソッポを向いているし
そんなことはないよと
楽観的な窓の向こうの僕は
満面の笑顔で手を振り
ときに手招きする
その先を掴みたいけど
その先に行くのは怖い
いつでもどこへても
逃げ出せる準備は
しているのに
心だけは現実と逃避の狭間で
動けずにいる
できるのだやるならと
何度も鼓舞して騙した心は
躊躇というのを覚えてしまった
まだまだという人もいる
もう無理という人もいる
そんな声がコダマする
手を伸ばした小さな明かりの先で
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