第18話

文字数 667文字

 大学を無事に卒業した健人は、両親との約束通り北海道へ戻って行った。両親も約束を守ってくれた息子をあたたかく迎い入れ、酪農の仕事を一から教えていった。
 東京での学生生活を謳歌した健人に迷いはなかった。東京で会社に就職した友人をみていると、いろんな苦労があり、そんなにストレスを感じてまでサラリーマンをやっていく自信は全くなかった。
 
 東京での学生生活を経験しなければ、気持ちの整理もつかないまま社会人になるところだった。健人は自身の選択に後悔はしていなかったし、自由にさせてくれた両親にとても感謝した。だから、卒業してからの一年は必死に働き、とても充実した日々を送ることができた。

 そして、翌年の四月から二ヶ月間は東京で警備の仕事をさせてほしいと両親に頼み込み、承諾を得ていた。東京でやり残したことがあるからと両親を説得した。

 一方、教員免許をとったユリは、学生の頃から国際人として活躍したいという夢があり、アジアの子供たちの教育に携わる仕事を選び、四月からインドネシアの小学校へ教師として赴任している。そこでは日本語の教育も行なっているという。
 だから、せっかく北海道に戻ってきたのに、また、遠距離恋愛になってしまっているのが現状だ。
 でも、今までと一つ違うのは、婚約しているということだ。
 そう、健人は北海道に戻ってきてすぐに、ユリにプロポーズをしていたのだ。式は来年の春。ユリが日本に一時帰国するタイミングで挙げることにした。
 健人の人生も順風に進んでいるように思う。

 でもまだ気になっている、大切なことを解決しないといけない。
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