第2話
文字数 572文字
健人のアパートは大学のある駅から一つ離れた隣駅にある。駅までは歩いて十五分くらいかかるので駅近とはいえない物件だった。
大学へは自転車で通うと決めていたので、利便性より家賃の安さを優先してそこに決めたのだった。
駅前にはいちよう商店街がある。だが、どの店も今は繁盛しているとは思えない。シャッターが閉まりっぱなしの店もある。健人は普段は電車を利用しないので、商店街を端から端までは歩いたことがない。でもなぜかその日は、メイン通りのその先の明かりが気になった。いつも利用しているスーパーを通り越してその先へ行ってみると、レトロな雰囲気の喫茶店があった。
(いまどき珍しい店だな……)と思い、薄暗い店内を窓から覗いた。
店内には二人の男性客がいたが、それぞれの席で雑誌か何かを読んでいるようだった。
(商売っけのない店だな)というのが第一印象だった。
(今日も何一つ収穫のない、ついてない一日だったなぁ。早く家に帰って新たな戦略をねらなくっちゃ。こんなところで時間を無駄にしている場合じゃないんだ)と店を通り過ぎ、引き返そうとしたその時、小さなベルがついたドアに、一枚の張り紙が目にとまった。その紙はまさにテープ一つでとめられていて、風が吹いたら剥がれ落ちてしまう、そんな感じだった。
[アルバイト募集 土日できる方求む]
健人は迷わず店のドアを開けた。
大学へは自転車で通うと決めていたので、利便性より家賃の安さを優先してそこに決めたのだった。
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(いまどき珍しい店だな……)と思い、薄暗い店内を窓から覗いた。
店内には二人の男性客がいたが、それぞれの席で雑誌か何かを読んでいるようだった。
(商売っけのない店だな)というのが第一印象だった。
(今日も何一つ収穫のない、ついてない一日だったなぁ。早く家に帰って新たな戦略をねらなくっちゃ。こんなところで時間を無駄にしている場合じゃないんだ)と店を通り過ぎ、引き返そうとしたその時、小さなベルがついたドアに、一枚の張り紙が目にとまった。その紙はまさにテープ一つでとめられていて、風が吹いたら剥がれ落ちてしまう、そんな感じだった。
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