いつきと遊火
文字数 864文字
いつから狂い出していたのだろう。
高校二年の夏。
君が私だけを見てくれなくなった時からだろう。
独りぼっちは辛いでしょ!
私が居場所作ってあげるから。
愛していたじゃん。
違うの……?
何度も繰り返す。
フラッシュバックする。
遊花が飛び込んで居なくなった瞬間が。
居なくなったらお揃いのキーホルダーが千切れた。
夏に取り残された遊花が踏切の向こうに見える。
私の中の怪物が暴れ出した。
高校一年の九月。
チャイムが鳴った。
次の標的になる目印を置いた。
苛められ始めた遊花を救う事ができるのは私一人だけだ。
助けが要らないのか?
遊花の悲しそうな顔が何もかもに飲み込まれたその手にキスをした。
もし何も無い透明な世界でお互い想い合えたら。
また繰り返しフラッシュバックした。
やってしまった。
それを見た私は悲しい程に呪われてしまって終わりたい。
遊花が、指差した先に私が居た。