石本ユミカ。
彼女は、サイドワインダー伊予松山基地の司令を務める准将(後に大将)である。
そんな彼女には、愛娘である石本のぞみが居て、一人の母親という一面もある。
ユミカは、愛機の一つであるファントム改"ユミカスペシャル"で、訓練飛行を行なっていた。
第一線からは身を引いているものの、ハンター零(ハンター中隊零番機)としての能力を日々磨いているのだ。
ユミカが操るファントム改"ユミカスペシャル"は、通常のファントムより機動力のほか、対電子妨害(レーダーや誘導妨害)性能、更には航続距離までもが大幅に強化されている。
すると、訓練飛行中のユミカに、中本未玖が搭乗しているアドバンスホークアイから緊急無線が入る。
アドバンスホークアイ
《こちら、早期警戒機隊の中本です! 付近を飛行中の戦闘機は居ますか!?》
ファントム改
「こちら、ハンター零。どうしました?」
«国籍不明の機体が高速で伊予灘方面から瀬戸内海上空を飛行中! 現在、虚人東山軍のスーパーフランカー12機に追撃されている模様!»
«夜慧が既にスクランブルを掛けています! 上がっているのは…ハンターⅤ(ストライクイーグル)とハンターⅥ(上甲)です!»
ユミカはすぐさま、現場空域へと急行する。
訓練飛行とは言えど、中距離ミサイルと短距離ミサイルを4発ずつ装備し、20mmバルカン砲も装填されている。
ストライクイーグル(空戦装備)
《っ! 早く逃げて下さい! これ以上は燃料と弾薬が持ちませんよ!》
バイパーゼロ(空戦装備)
《そうですよ! 松山空港までの燃料が無くなります!》
ファイアーバード
«っ! このまま撃墜されるなら一矢報いてやるわ!!»
スーパーフランカー(リーダー機)
東山 備中 TⅡ型
《お前は私達に協力するべきだ、お前にその気が無ければ…撃墜すだけだ》
すると、2機のスーパーフランカーに乗る備中がある装備を起動させた。
どうやらファイアーバードを一時的に無力化させる妨害電波を発したらしい。
«標的機の無力化完了…これで終わりだ!»
撃墜態勢に入ったTⅡ型備中の乗るスーパーフランカー…士官とミサキ…そして子連れのパイロットは「もう終わりだ」と思った…その時!
バーン!!
1機目の虚人東山軍機が撃墜されてすぐに1機…また1機と撃墜されていく…そう、現れたのは他の誰でもない…石本ユミカ准将…いや、ハンター零が操るファントム改"ユミカスペシャル"だったのだ。
しかし、すぐさま残りのスーパーフランカー(量産型備中)もすぐさま迎撃態勢に入るが…。
《ファントム?! あんな時代遅れの骨董品でアタシ達とやろうっての!?》
しかし、備中達の考えは浅はか過ぎた…ハンター零(ユミカ)が乗るファントムは"ユミカスペシャル"と呼ばれる"特別な改造"を施されている事を知らなかったのである。
気付いた時にはもう遅く、2機のスーパーフランカーはファントム改"ユミカスペシャル"の20mmバルカン砲の餌食となっていた。
《未玖の情報通り…スーパーフランカーが12機居たのね》
ユミカはすぐさまTⅡ型備中と量産型備中が操るスーパーフランカー3機の相手をする。
量産型備中達はすぐさま妨害電波を発しようとした…その瞬間!
今度は高度を落としてスーパーフランカーの真後ろに回り込み、近距離空対空ミサイルをお見舞いし、あっと言う間に撃墜。
これには流石のTⅡ型備中も狼狽してしまったようだ。
《な…!? 何が起こって…ま、まさか?! 奴は…ハンター隊0番機…ハンター零ぉ!?》
ユミカはTⅡ型備中が操るスーパーフランカーの真後ろからバルカン砲を発射し、撃墜した。
«凄い…殆ど近距離格闘戦で8機撃墜するなんて…»
《っ! ハンター零! ファイアーバード、中本隊からの報告にあった国籍不明機が残り4機を撃墜! ハンター零、ロックオンされてます!》
ユミカはすぐさまチャフを展開、マニューバキルを併用しミサイルを回避した。
ユミカはすぐさまファイアーバードの真横に付き、機体を左右に傾け「貴機は我に従え」と促し、ファイアーバードに無線を繋いだ。
《こちらは、中立国共同体南海コモンウェルス、サイドワインダーである》
《我々は貴機の友軍である。貴機は虚人東山軍機に追撃されていたとは言え、我々の領空を侵犯した。よって事情聴取の為、貴機を松山空港まで誘導し、着陸させる》
そして、ユミカ達はファイアーバードを松山空港まで誘導し、着陸させた。
すると、降りて来たのは…4〜5歳くらいだろうか、女の子を連れた女性パイロットだった。
「さて…あなたの名前と国籍、所属する組織と部隊名をお話し頂けますか?」
「私は、東亜連邦空軍"青藍航空隊"所属の劉黄香です…この子は娘の雪花です」
「成程…東亜連邦の新型空中戦艦の設計図を持ち出して、それを虚人東山軍に横流しされる事を防ごうとしたと…」
「なるほど…それが虚人東山軍に流れようものなら…」
「…事情は把握しました。我々はあなた達を歓迎できるかどうかは分かりませんが…可能な限り、保護致します。もし宜しければ、我々に御協力頂ければ…」
「…分かりました、私も可能な限り提供可能な情報を提供致します」
東亜連邦から来た子連れのパイロットは、サイドワインダー伊予松山基地にて保護される事になった。
そして、これが虚人東山軍にとって大きな打撃になる事をまだ誰も知らない…。