鳥羽魅兎 護衛任務
文字数 4,295文字
インターネット産業を経営するバーチャル商人の鳥羽魅兎は、日本帝国の特務機関である「総督府」などと契約し、仕事を請け負っている。
四国・九州での商売を済ませて帰還した鳥羽に、第四学校の山田玉子という転校生を警護する依頼が届いた。
能力を更新した鳥羽は、総督府から虚人東山軍に潜入捜査していた黒沢俄勝や、十三宮教会の美保関天満らと共に、山田の外出先へと同行する事になった…。
内容をさらっと読んで、対象の情報を表示した。
山田玉子、第四学校の三年生。
表ではここまでしか出ていないが、山田家は軍人のエリートが多く出ている家で有名である。
滅んだ国家に対して積極的に協力しており、資産は莫大な物となっていた。
彼女は普通に暮らしていると勘違いしているかも知れないが、常に命を狙われている要人である。
勿論報酬も、かなり弾んだ状態で前払いされていた。
護衛も慣れたので、断る必要が無い。
今回一緒に仕事する事になっている天満を、部屋に招いた。
山田に売るために置いてあるオカルトグッズが、部屋にびっしり置いてあった。
お互いくすくす笑っているが、眼が笑ってない。
電池が、切れたように。
鳥羽の噂、興味が無くなると秒で部屋を出される。
わざわざ出向いて来たのに、これって無くない?
と、頬を膨らませた天満であった。
基本システムについては、問題なく起動できた。
今回の護衛には戦闘を要すると書いてあったため、新システムで魔眼を埋め込んだ。
今の体に、より馴染んでいると体感した。
それ用に、魔弾専用のスナイパーライフルを作り上げた。
長距離狙撃銃「
予備のセーブを持って、部屋を出た。
どこがいいだろうと考えて、歩いていると碓井槐が話し掛けて来た。
資料確認した限りでは、碓井槐は鬼狩りの一族の末裔であり、「業火の鬼狩り」と呼ばれていた。
やる気のある時が珍しい、と言われているレア度を考えてしまったら。。。
戦闘データが欲しい、が勝ってしまった。
一斉に、駆け抜けた。
刻弾魔を槐に向け、撃った。
属性に合わせて、改良して良かった。
相性が良かったのか、誤差修正がmm単位で行えるようになっていた。
近距離戦に強い碓井を寄せ付けないように、正確に射撃する。
設計上ではそれ以上撃つ事は不可能であり、開眼にかなりの魔力を消費する事が記されていた。
近距離戦闘になり、魔力切れも重なってステイモードに入ってしまった。
慌てて、予備のセーブを起動に掛けた。
遠くから尾行するように、伝え忘れた事を思い出した。
その後の作戦は、何も起きず過ぎていった。
ドレスを新調した後アクセサリーやバックを見て、高級料理店まで連れて行かれて金持ちの感覚に付いて行けなくなった天満が交替を申請した。
中に入って行くと、山田がだんだん大人しくなっていった。
どうやら、緊張しているらしい。
この先には持ち物検査があり、目立った武器を持ち込む事ができないので、会場周辺を偵察している同僚の黒沢俄勝に刻弾魔を預けて、広間へと向かった。
入った瞬間に、違和感を覚えた。
山田が狙われている事が、すぐに分かった。
警戒態勢を取っていると、辺りが暗くなった。
今まで秘密裏に処理されていたので、慌てている山田を
近付いて来る足跡が、多い。
そう思いながら打開策を考えていると、異変を察知した黒沢俄勝が駆け付け、刻弾魔を鳥羽に投げ渡すと同時に、山田を連れて脱出する態勢を取った!
ハンドガンを撃ちながら、敵勢力を制圧して行く。
パーティー会場の敵を片付け終わると、悲鳴が聞こえた。
山田を連れて逃げたはずの黒沢俄勝が、負傷していた!
妖魔が、負ける…?
有り得ないと思いながらも、山田が敵勢力に
声を聴いて、刻弾魔を構えて撃った。
逃走車両に当たっているが、スピードが落ちない。
細工がされている! 後を追いながら撃ち続けたが、中々止まる気配が無い。
モルダバイトの魔眼を解放し撃つと、タイヤに当たり車は止まった。
相手は3人、居るようだ。
一人ずつ、確実に仕留めていった。
最後の一人が、山田を人質に取って足掻いていた。
正確な射撃で、山田に当てずに撃ち抜いた。
ステイモードに入っているため、すぐセーブを起動し山田の安否を確認した。
気絶しているようで、それ以外の外傷は見られなかった。
それにしても、総督府に所属している黒沢俄勝が負傷するほど強い奴の居る事が分かった。
もう、近くに居る様子も無い。
山田の救出に手間取っている間に、逃走したようだ。
とても長い一日が、終わろうとしていた。