ヤーマン土田の肌で温度をチェックだ!
文字数 2,454文字
サイドワインダー伊予松山基地の職業軍人にして「すっとこどっこい教官」などと呼ばれる、御存じ「ヤーマン土田」こと、土田エリカ教官(階級 少佐)。
カメラを見ては「吠える」「噛み付く」「暴れる」の3連コンボ。
そんな傍若無人の噴飯者が続ける悪行の数々に業を煮やしたサドワTVが編み出したのが…「人体実験」である。
数々の装備品やパーツの性能の高さを体を張って日々証明している…そんな彼女が今回挑むのは…?
サイドワインダー伊予松山基地
いつきがそう言うと、エリカの前に洗面器とタオルを差し出した。
そう、空飛ぶ猿は大の温泉好きでもある。
そこで、今回すっとこどっこい教官が挑む人体実験は「人間温度計」である。
実験するのは、液冷エンジンのラジエーターの性能だ。
レシプロ機のエンジンは基本的には、飛行中の風により直接エンジンを冷却する「空冷式」がメインだが、一部の機体にはエンジン内部に「クーラント」と呼ばれる液体の冷却剤をエンジン内部に循環させて冷却する「液冷式」も存在する。
ここで必要になるのが、そのクーラントを冷却する「ラジエーター」なんだ。
ラジエーターとは、エンジンに熱されて高温になったクーラントを冷却する装置で、クーラントの温度を一定にする事で、エンジンのオーバーヒートを防ぐ役割があるんだよ。
例えば、大出力のレシプロ機…そう「空のF1」と呼ばれる「エアレース」に出場する機体は空冷だと空気抵抗が大きくなって、速度が伸びなくなる。しかし、液冷エンジンはそれが少なくなるんだ。
エンジンから来た高温のクーラントがラジエーターを通る事で、冷却され、またエンジンに戻る…こうする事で、エンジンのオーバーヒートを防ぎつつ、空気抵抗を減らしてスピードアップにも繋がるんだ。
それが大容量のタイプともなれば…より多くのクーラントを冷却できるから、エンジンの温度上昇を抑えられるんだよ。
今回はエアレース用大容量タイプラジエーターと純正ラジエーターで温度上昇の違いを見ていく、使用する機体は、レシプロ練習機の傑作と名高い
今回の装置の仕組みはこうだ、水道からエンジンに水を供給し続けて、エンジン内部とラジエーターを通って高温になった水がホースを通り、そのままバスタブへ流れる一方通行方式を取ってるよ。
彼女自身に大容量ラジエーターと純正ラジエーターの違いを感じてもらおう。
こうして、浦霧光江の声掛けにより実験が開始された。
無論、暴れるのを防ぐためにヤーマンを縛り上げて…。
すると、なつきが例の噴飯者に声を掛けた。
「人道的見地によりクーラントではなく真水です♪」
ラジエーターの前にある送風機を止めると…。
「お気になさらず♪」
いつきがエアレース仕様の
これにはさすがの光江もドクターストップを掛け、なつきと士官はエリカを湯船から引き上げ、常温の水でエリカの身体を冷やした。
そして、例の噴飯者はバスタオル一枚で幹部寮へと帰っていった。