第11話 <UNOとナイショ話>

文字数 811文字

夜9時ごろ、八重子の旦那の浩志さんが迎えに来て、
二人は帰って行った。

「私UNO持って来たんです! やりませんか?」

萌ちゃんが言った。

「へー、UNOなんて久しぶり! やろうやろう!」

私は言った。

私、萌ちゃん、賢斗、亨の順番にカードを回す。

萌ちゃんが

「ごめんね!」

と賢斗に言って、Draw2カードを出した。

「全然オッケー、亨さんすいません!」

にやっと笑って賢斗もDraw2カードを重ねた。

「やってくれるねーー! でもーー!?」

と、亨はDraw4カードを出した。

「うわ! でもーー!?」

私もDraw4カードを出した。

「えーー! 怖い!! でもーー!?」

さらに萌ちゃんもDraw4カードを出した。

「まじふざけんな!!」

賢斗は大量のカードを引き、みんな笑った。

「オマエゼッタイツブス!」

賢斗は萌ちゃんに言った。

でも、今日の賢斗はハリネズミでも尖ったナイフでもなく、
普通の男の子だった。
萌ちゃんを呼んで正解だなと思った。

11時近くになり、

「よし! 今日はもうおひらき!」

と私が言うと

「それじゃ、明日は海に花火しに行こーぜ!」

と亨が言った。

「わーい!」

萌ちゃんは嬉しそうに万歳をした。

賢斗もまんざらでもなさそうに部屋に戻って行った。

夜は私のベッドを萌ちゃんに譲り、
私は床に布団を敷いて横になると、
ベッドの中から萌ちゃんが話しかけてきた。

「小夜子さん…… これ言っちゃおうかな?」

「何? 萌ちゃん」

「お父さんのこと、ほんとは内緒なんだけど……」

「うん?」

「お父さんね、小夜子さんの事が好きなんだよ」

「えー? そうなの?」

ふふふと、萌ちゃんは笑った。

「私、小夜子さんがお父さんの結婚相手なら
いいなぁって思った事あったんだけど」

「え?」

「なんてね、ごめんなさい、今のは忘れて」

そう言って

「おやすみなさーい」

と、私に背を向けた。

「おやすみなさい」

私もそう言って目を閉じたが、
なんだかこそばゆい気持ちになって、
その日は寝付くまでに時間がかかった。

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