あとがき

文字数 929文字

私の知り合いに、サハラ砂漠で生活している方がいるのですが、
先日、その方がリモートの特別授業で
高校生にお話をする機会があったそうです。

そこで彼女は生徒たちに
「若いうちに変な大人にたくさん会ったらいい」
という事を伝えたという話を聞き、
私は大きく頷いてしまいました。

「可愛い子には旅をさせろ」と言いますが、
それはその通りで、いろんな生き方をしている人の背中を見て、感じて、
自分の道というものが見えてくるのかなと思います。

核家族、下手したら家族より小さな
個人単位でいることが当たり前になった今の世の中、
見える世界が狭く狭くなってしまうと、
生き方の選択肢も狭まって苦しくなってしまう。

学校と家庭という小さな社会しか知らない子供。

そして親はステレオタイプの幸せを
子供に植え付けようとしてしまう。

幸せの形は個人個人違うものであり、
それは誰かに手取り足取り与えられるものではない。

子供に幸せになって欲しいが故に
あれこれ手を尽くしてしまうのでしょうが、
血の繋がった親子だからこそ、
お互い見えなくなってしまう時もある。

そこに血の繋がりのない、親でも子供でもない立場の
ニュートラルな視点を持った人間が介入したら
どんな感じだろう?と思い、小夜子を誕生させました。

煮詰まった関係には、
他人の目という風穴が必要な場合もあるよな・・
なんて思いながら、その気持ちを小夜子に乗せてみました。

また、小夜子の周りには様々な人間がいます。

間もなく母親になる妹の八重子、
自由気ままに生きているけれど、人生行き詰まっている弟の亨。

持病があっても健気に明るく生きる萌ちゃん。

そんな人達との出会いで、賢斗の視野も広がります。

みんなの中には定型ではない愛や幸せがあり、
その人たちと関わるうちに賢斗の中にも愛や幸せが生まれます。

自分の中に愛があって、それを自分以外のものに分け与える事で、
人は充実できて輝けるのかな、なんて思います。
それを最後のリサイタルのシーンで表現してみました。

「愛」というものを言葉で説明するととても難しいのですが、
感覚として感じ取っていただければと思います。

それでは最後に、「小夜子と少年の琥珀色した夏休み」を
読んでいただいた読者の皆様に心から感謝申し上げます。

ありがとうございました。




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