登場人物、設定

文字数 5,131文字

※※※※※ 注 意! ※※※※※
第三章までのネタバレがあります。
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▼△▼ 登場人物 ▼△▼

・カイン(レオ)
三年前に滅んだ、アルマスの生き残りの元騎士。〝金狼〟と呼ばれている。
見た目は褐色肌で、金髪金眼。長い髪を高く結って留めている。
普段は物静かだが、戦いの中で感情的になると残虐な殺人鬼になってしまう(しかも記憶が無い)という二面性を持つ。ディルとの約束に従って、クリスティを護り続けている。

・クリスティ(メアリ)
三年前に滅んだ、アルマスの生き残りの少女。カインの親友だった、ユジェとディルの娘。
白い肌と、母譲りの桃色の髪(肩に付かないくらいの長さ)を持つ。
過去の出来事で声が出なくなっていたが、マキナ達と出会ってから回復してきている。貴重で価値の高い神剣、『アルマス』の欠片を持ち歩いているため、《首喰い》に命を狙われている。

・ディル
アルマスの騎士隊長で、ユジェの夫。クリスティの父。
褐色肌、短い黒髪に鳶色の鎧姿。
カインの親友だが、彼の持つ残虐な一面を恐れてもいた為、彼から守る為にユジェを娶る。
三年前のアルマス消失時に死んだと思われていたが、左半身が溶けたまま、〝黒鬼士〟となって生きていた。優しく穏やかな人物であったが、今は影もなく、復讐のために手段を選ばない。

・ユジェ
アルマスの元騎士で〈剣の神子〉。
ディルの妻、クリスティの母。実はトリア国の〈剣の神子〉、ステラの叔母でもある。
白い肌、長い桃色の髪に、白い装束姿。大変な美人で、騎士時代は〝駿剣〟と呼ばれて持て囃されていた。
人の良い所を見て声をかける優しい性格で、住民から慕われていた。〈剣の神子〉を続けるうち、視力を失いつつある。三年前に、コルヴァの襲撃によって命を奪われる。

・オラド
アルマスの隣国・コラーダに所属する、神子の男。
白い肌、赤い瞳、白い民族衣装。
アルマスとコラーダ間の同盟の為、交渉役を担っている。
同盟調印のために神剣の欠片を持ち、アルマスへ向かう途中、異変に気付く。神剣『アルマス』の前で、まだ生きていたディルによって心臓を喰われ、殺された。

・コルヴァ
三年前のアルマス襲撃を皮切りに、各国の〈剣の神子〉を襲って回っている《神子殺し》。
白い肌に銀髪、青い瞳、聖者のように神聖な雰囲気を持つ男。
性格は外見に反して冷徹で、残酷なやり方で国を滅ぼしている。時折、人形じみた笑顔を浮かべる。生身ではなく、機械の身体であるらしい。ディルからは、ユジェを殺された仇討ちの為に追われている。

・マキナ
交易都市リットゥで出会った、旅商団を率いる飄々とした女性。
褐色肌、鮮やかな長い赤毛と、藍色の瞳を持つ。
生まれつき感覚が鋭く、周囲の状況を把握したり、〝雨〟を予測して避けることが出来る。反面、大量の薬が無ければ立っていられず、寝込んでしまう。
その正体は、大国エルムサリエ帝国の第四皇女であり、何らかの目的のために暗躍している。

・ロウ
マキナの従者で、元盗賊。
褐色肌、短い金髪に、明るい青色の瞳。間延びした喋り方が特徴。
身体中に装飾物を付けており、商人のようにも見えるが、実務面は優秀である。短剣二本を巧みに操る戦い方をする。
元々はエペト・グラムの貧民窟に捨てられていた身の上で、マキナと知り合ってから帝国民として臣従を誓った。カインに対し執拗に何かを伝えようとしているが、その真意は不明。

・ベネデット
タン・キエムを占領していた、元騎士の大男。
貧民出身のため侮辱的な扱いを受けたことをきっかけに蜂起し、王族や裕福な人々を皆殺しにした。カイン達によって、一派のほとんどが始末された。

・シャーロット
南端の国ニル=ミヨルの〈剣の神子〉。
白い肌、きちっと結い上げられた金髪に、高級な衣服を纏う。
耳が聞こえない為、口の動きで話を読み取っている。礼儀正しい好人物だが、〈剣の神子〉になってしまった事から生きる事を望まず、諦めに近い感情を持っている。

・ハイデンベルグ・エルムサリエ
南部の大国・エルムサリエ帝国の皇帝。苛烈な戦い方から“血の皇帝”とも呼ばれている。
褐色肌、燃えるような赤毛は長髪で、背中まで流している。
滅多に見ない老齢まで生きている人物で、常に鎧姿。尊大な態度をとるが、実力さえあれば無礼でも全く意に介さない懐の広さがある。

・ラルフ/ジェレミー
遊牧民の住処エペト・グラムを治める、双子の〈剣の神子〉。
白い肌、賢そうなきりっとした切れ目と長い眉。どちらも猫毛。
ラルフが兄。茶色の短髪で、右足が隻脚。
ジェレミーが妹。肩までの長さの茶髪で、左足が隻脚。
性格は礼儀正しいが、役立たずの王に対しては毒舌。理知的で政治的能力に優れ、国の実権を握っている。

・クリフ
軍国アロダイトで出会った、旅人らしき人物。
白い肌、体格が良く、つばの広い帽子を被っている。
博識で、カイン達に北部の現状を伝え、ベニーを連れた彼らを見逃す。

・ベニー
軍国アロダイトで使役されていた、奴隷の子。
褐色肌、藤色の髪でやせ細っている。
物静かな性格だが、実はラフェトゥラ人との混血で、過去に虐殺をしたと言われるカインを殺そうとした。

・ステラ
水の都トリアの〈剣の神子〉であり、首長。以前はトリアの騎士であり、ラフェトゥラ大戦にも参加経験あり。
ユジェの姪であり、クリスティの従妹でもある。
白い肌、梅鼠色の髪を背中まで流しており、ぱっつん前髪。鎧を着ている。
さっぱりした性格で行動的。大変正義感が強く、情に厚い。元奴隷のベニーを従者として受け入れる。

・アウレリア
ラ・ネージュ法王領所属の神官。
信仰心が篤く聖務へ真剣に取り組んでいる。ステラと仲が良い。
褐色肌、ぼさっとした短い青髪、灰色の瞳を持っていて、眼鏡を掛けている。
ユリアスの後継者候補として期待されて生まれて来たが、条件外の見た目で生まれた事で、実母から虐待を受けていた。ユリアスに声を掛けられて救われる。

・ユリアス・ラ・ネージュ
ラ・ネージュ法王領を治める、現在の法王。
〈剣の神子〉や神剣といった浄化の仕組みを作って人々に与えた、救世主ユリアスの子孫。
また、〈剣の神子〉による生き方、教えを説く教会の首長でもある。
大陸中に信者がおり、中には危険を冒して巡礼の旅をする者も居るほどで、彼らから各国の情報を把握している。
すべてを知っている素振りをする一方、アウレリアに窘められて素直に謝るような一面も。

・フォルクハイム
エルムサリエ帝国第一皇子。マキナの兄。
〈剣の神子〉に頼った現在の在り方を否定的に考えており、帝国内で"雨"を浄化する研究を進めさせている。
根っからの軍人かつ生真面目で堅物な人物らしいが、マキナには協力的とのこと。





▼△▼ 世界観・設定用語 ▼△▼

・〝雨〟
赤い色をした雨で、触れると身体を溶かす毒素がある。無機物でも時間はかかるが腐食される。
ある時突然降って世界を滅ぼした。
一〇〇〇年前に聖ユリアスが現れて啓示を与えた事によって、神剣を中心に築かれた国々、浄化をする〈剣の神子〉、という現在の大陸の姿に繋がっている。

・イブ
物語の舞台で、人々が住む大陸のこと。
古い呼び名で、現在はあまりそう呼ばれずにただ「大陸」と呼称されている。

・ラフェトゥラ
イブ大陸の東に位置する小島。十三年前にイブ大陸へ侵攻を行い、大戦を引き起こした。
南部の国アルマスやコラーダ、北部東端のトリアなどの連合軍が戦い、勝利した。
この時ディルやレオ、ユジェ達が活躍した事で昇格したが、一方で多くの人を殺した禍根が残る。
ラフェトゥラ人はイブ人より濃い褐色の肌で、黒髪と黒い瞳を持つ。

・神子
白い肌を持つ人々。〈剣の神子〉になる事が出来る資格を有している。
北部ではこちらの人口が多い。

・土の民
褐色の肌を持つ人々の事を指すが、蔑称でもある。
南部ではこちらの人口が多い。

・神剣
国や街ごとに所持している、〝雨〟から命を守り、浄化する為のもの。
遥か昔に、聖ユリアスの従者たちによって人々に与えられた。
一本ごとに力場の範囲が決まっている為、領土拡大のために各国が探し求めている。
その刃の欠片だけでも神子が持てば、狭い範囲ではあるが浄化が出来る。

〈剣の神子〉(けんのみこ)
神剣に選ばれて、国や街を護っている神子。
浄化には命を消費するため短命となり、五年程度で死に至る。
また、神剣に選ばれた印が手の甲に刻まれており、神剣から離れると印に激痛が走るため、離れる事は出来ない。


★通貨単位
名称は「ビル」。円換算で1ビル=200円ほど。

★長さの単位
名称は「メイル」。メートル換算で1メイル=1.6キロメートル。

★文化水準について
・生活水準……ガス・石油・火薬・電気は存在しない。それを用いた兵器も存在しない。
・照明……基本的には鯨油を用いた油燈、ろうそくを使用。
・紙……羊皮紙と草木の紙が両方流通しており、職人もいるが、基本的にはコラーダにしか存在しない。
・交易について……駱駝や驢馬を使用した「旅商団」によって行われる。神剣の欠片を持つ神子と、その護衛が必要となり経費が嵩む為、全体数が少ない。そのうえ、旅商団には金があると見られる為、盗賊によく襲われる。





▼△▼ 国、街の名前と位置関係 ▼△▼

・レ・ユエ・ユアン
イブ大陸の中心に円を描くように広がっている、永遠に"雨"が降る地域。禁足地。
ここから聖ユリアスが現れたと言われており、法王の勢力には聖地として扱われている。

・剣士の街「アルマス」
ディル、ユジェ、カイン(レオ)、クリスティ(メアリ)の出身地。

・学術都市「コラーダ」
三年前、アルマスと同盟を締結しようとしていた国。神子オラドの故郷。
ところが調印前にアルマスが"雨"で滅びてしまった為、同盟を破棄してカイン達の首に賞金をかけた。 
マキナが居座っていた事がある。

・砂漠の交易都市「リットゥ」
大陸北部・マリウス大河沿い、東端の海沿いという恵まれた立地のうえに成り立つ、交易都市。 

・ラダン湖の集落「ハラ・ダヌ」
レ・ユエ・ユアンの南下にある村落。巨大な湖『ラダン湖』を有する。

・「エルムサリエ帝国」
大陸南部最大の国家。法王領ラ・ネージュ勢力に敵対しており、戦争を続けてきた軍事国家。
国民は、法王と戦う『誓い』を立てる事が必要で、さらに身分に応じて居住区が区切られている。
〝雨〟の浄化に関する研究を進めている。

・水の都「トリア」
法王領ラ・ネージュからすぐ南に位置する小さな国。マリウス大河の上流にあり、水が豊富。
〝黒鬼士〟が現れた事から、防衛という大義名分でラ・ネージュに併合を持ち掛けられているが、拒否している。
〈剣の神子〉が首長も担っている。

・賊徒の王国「タン・キエム」
南部中央、帝国西方にある。
近年治安が悪化しており、ベネデットによって王族が殺された事で盗賊や貧民が支配者となり、立場が逆転している。

・南端海岸の従属国「ニル=ミヨル」
南部西、海岸沿いの街。
帝国のすぐ北方に位するため、帝国の影響を大きく受けているが、両者の関係は良好。

・滅びた海岸の街「ドゥリンダナ」
大陸中ほど、西海沿いの港町。
カイン達が立ち寄った時には"雨"と《神子殺し》によって滅ぼされていた。

・遊牧民の海岸「エペト・グラム」
ロウの第二の故郷。金と豆の算出が豊かで、かなり発展している港町。
元々遊牧民だった一族が定着したという成り立ちから、〈剣の神子〉はある程度であれば神剣を自由に持ち歩ける。

・鉄鉱山の街「ミスティルテ」
法王領のすぐ西、北部中央の街。鉄鉱山の麓にある都市。
鉱物や鉄の産出が盛ん。

・「ロンゴミアント」大砂漠
大陸北西に広がる大砂漠で、貧しい土地柄。
二年前に《神子殺し》に滅ぼされ、住人はエペト・グラムとアロダイト、ミスティルテに流れた。
南にナズ地方、西にラング地方、北にスクリミル地方と分かれている。
……ナズ:開発が遅れている土地だった。今でも奴隷や難民の隠里がある。神剣『ナズ』を護っている。
……ラング:鉄鋼業と塩採掘が盛んだった。神剣は行方不明。
……スクリミル:最も過酷かつ貧しい地域で、治安は最悪だった。神剣は行方不明。

・饐え堕ちる軍国「アロダイト」
ロンゴミアント大砂漠の西方に位置。軍部が政治統制を担っていて、隣国と争いが絶えない。
神子(白肌)とそれ以外の差別が激しく、〝土の民〟の奴隷売買を行っている。
また、《首喰い》が生まれた土地でもあり、今でもその多くを輩出している。

・「ラ・ネージュ法王領」
聖ユリアス信仰の総本山。
時計塔や大聖堂があり、信者の巡礼地となっている。領地の半分程度が立ち入り禁止。
神剣は三本「ベガルタ」「モラルタ」「マック・ア・ルイン」を所持。
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登場人物紹介

カイン

三年前に滅んだアルマスの生き残り、元騎士。

褐色肌で、金髪金眼の見た目から“金狼”と呼ばれている、腕利きの剣士。

親友ディルとの約束に従って、彼の娘であるクリスティを護り続けている。

冷静で静かな気質の人物だが、戦いを好む一面があり……?

クリスティ

三年前に滅んだアルマスの、生き残りの少女。カインの親友だった、ユジェとディルの娘。

神子の証である白い肌と、母譲りの桃色の髪を持つ。

神剣『アルマス』の欠片を持ち歩いているため、欠片を奪おうとする勢力と《首喰い》に命を狙われている。

過去の出来事が原因で、声が出なくなっている。

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