I 

文字数 408文字

こんなろくでもないわたしを、ただ黙って抱きしめてくれる彼の優しさに対するこの気持ちを、わたしは一体どうやって伝えられるだろう。

やはり、どれだけ体を尽くしても、言葉を尽くしても、それは決して伝わらない。

その気持ちは口に出した途端に逃げ去ってしまう。それは言葉には成り得ない。それこそが、今こうしてわたしがあなたに必死で伝えようとしているものなのだから。

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胸の中で泣きじゃくる君。私は周囲を取り囲みつつある炎の熱ではなく、ただ今は私の内にある君の温もりだけを感じ取ろうとしていた。

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それは愛ではなかったのかもしれないけれど、夢が、あなたが、わたしに与えてくれた温もりは、たしかにわたしを満たしていた。

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だから、もう、はなさない。

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あなた は わたし を夢見ているのかもしれない。

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わたし は あなた を夢見ているのかもしれない。

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あなた は わたし

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わたし は あなた

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あなた

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わたし
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