第21話 ブロイラー

文字数 660文字

僕は自分がひとつの事に執着し過ぎて失敗するんだと思っていた。
しかし、こうして書き始めてみて、真逆とも言える性向を認識するに至った。
たしかにひとつのテーマに執着はしている。
しかし、書き始めてはそれを完結させる前に、別の手法やら表現で書き始める。
こんなに書きかけ放置で次々新作に手を付ける節操なしは、どうやら僕以外に見当たらない。
文筆から離れた時、人生ぜんぶがそうで、それが失敗の元だと気付かせてもらった。
即ち「きみが好きだ」から、100の好きになり方を思いついたら試さずにおれず、どれも中途半端だから、相手は何がなんだかわからない。
そこを直せば、僕はうまく生きて行けるんだろうか?
読んでみる。
お気に入りがついたものや、読まれているもの。
「昼星」
これは、一気に書き上げたものだ。
素晴らしかった。
「死合わせ」
これも一気に書き上げた。
素晴らしいとは言い難いが、まあまあだ。
どちらも稚拙なぶん、純粋に感情が息づいている。
願い、希望。
みっともないけど、それが僕、と、是認すべきか?
否定すべきか?
大量生産帝国万歳 あの世まで持っていけ
誰かに見出されるには、このやり方は好ましくない。
それは、これまでの僕の人生で立証されてるのにね。
馬鹿は死んでも治らない。

あ、ちなみに「昼星」は「ひるのほし」と読みます。
そして、扉絵の写真に星が写り込んだのは、ただ太陽を撮ろうと見もせずシャッターを切った結果の、まったくの偶然。
書いた時は八つ当たり的、グロテスクに過ぎると思ってその後「夜の…」シリーズに着手しましたが、今読み返すと美しい作品だと思う。
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