第1話 holiday

文字数 790文字

あ、双葉紫明です。
みなさま、こんにちわ。
僕は男です。
別れた元妻に、書けと言われて書いてます。
僕はずっと(でもないけど、長いこと)バンドをやってて、作詞作曲をしていたので、書く習慣はありました。
さらに、バンド時代からブログを書いていたので、書く習慣はありました。
そして、元妻と出逢った頃には携帯がパケ死していた為、文通していて、書く習慣はありました。
だから、ずっと元妻は、「さきちゃんは文才があると思う」と言ってました。
現在は冴えない飲食店を営んでおりまして、そのブログ上で、時々好きな純文学に準えた記事を書いたりはしてました。
それは、元妻の期待に、精一杯応えようと、悲しい足掻きでした。
書けない。
僕は、空っぽだ。
人生経験が、なさ過ぎる。
僕には、不特定多数のひとたちに伝えたい感情の振れ幅も、だれも見たことがない景色も、なんにもなかった。
ただ、ただ、自分の生まれついた環境に甘んじて惰性で生きていた。
ところが、離婚。
元妻が説明するところの、愛してるからこその離婚。
堪えた。
死ぬか、と、思った。
いや、死のう。
今からでも。
そんな事があったら、あら不思議。
するする書ける。
僕は、ずっと自己の中にとじ込もって、誰とも関わらなかった。
はじめて。
悪くない。
良くも、ない。
彼女は一体、僕に何を期待してるんだろうか。
こんなろくでなし、みそのカス。
今日、今すぐにでも、死んだら良いのに。
そうして、彼女も、僕に生きてて欲しいなんて、口じゃ言うけど1mmも感じさせてくれた事は、ない。
僕はただ、生きて償わなきゃ。
社会に。
君も、いや、君はその最たるもんだ。
いろんな君との話を書いたけれど、どれも君を美化し過ぎた。
「トテ子」のるりちゃん。
アレが君だ。
バカで、自分の立場しか考えないが故に、時に含蓄めいて、太一を振り回す。
もう、僕の前から、消えてくれないか。
くたびれ果てたんだ。
それで何もかもが、うまくいくさ。
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