第14話
文字数 1,946文字
あ! その証拠に土が盛り上がっているところがある!
そういえば、黒の骸盗賊団の人たちから最初に襲われた時だ。盗賊団は土の中からでてきたんだっけ。黒の骸盗賊団の人たちは何か土の中へ入る技術があるんだ。
よーっしっ! オニクボがどこにでてくるのか、わかったもんじゃないが……これは逆に勝機なんだ!
俺は緊張で冷や汗が出たが、片手で掴んだ神聖剣を振り上げると、素早く動く地面の盛り上がったところを狙って。突き刺した。もう片方の手は髑髏の短剣を万が一のために構えていた。
「ぐわ!」
「やっりーーー! 当たった!!」
土の中から勢いよく右腕を抑えてオニクボが飛翔すると、空中でナイフを構え一回転した。俺は冷や汗を拭って、片手の神聖剣も慎重に構えた。
だが。
「フッ! やるなあ……だが、俺さまはどんな奴よりも危険だぜ!」
オニクボは地面に着地すると同時にマルガリータの背後に回った。首筋にナイフをあてがうと、鋭い目つきで俺に向かって何かを言おうと口を開けた。けれども、何故かマルガリータは静かにまったく別の方向を見つめていた。
「うん?? どうしたんだ? 嬢ちゃん? 抵抗するなら、このままブッスリいくぞ……??」
「鬼窪くん!! 伏せてーーー!!」
マルガリータの絶叫が木霊した。
俺は慌てて伏せると、轟音とともに激しい閃光が周囲を包み込んだ。俺の視界が白一色になった。その次は、超高温が俺の全身を焼いた。立っているのもやっとの物凄い熱さだった。
「あっちちちちいいいいーーーー!!」
体中の汗が瞬時に蒸発し俺はその場でドサッと倒れた。とてつもない高熱で気を失う寸前。俺の真っ白だった視界が、徐々に視力を取り戻してきた。そこには大量に煙が上がった荒れ果てた地が広がっていた。荒れ果てた地はよく見ると地面が陥没していた。まるで、何かとてつもないもので広範囲に抉られたみたいだった。
「さっすがお師匠……でも、敵はあっちよ……」
「こ……こんな奴を暗殺しろって?! 冗談じゃねえ! 頭どうかしてるぜ!!」
オニクボのそう吐き捨てるような声が聞こえ。それと同時に、派手な土を掘る音がした。
きっと、オニクボは逃げたんだな……でも……一体? 何が起きたんだ??
俺はその時、ヒッツガル師匠の魔法のことを思い出しながら意識を手放した。
―――
「鬼邦くん! ご飯出来たって!」
「う、うーん……うん???」
目上には控えめな女性の胸が……。俺はどうやら木製の二段ベッドの下で寝ていたようだった。
「ちょっと、どこ見ているのよ!」
「わ! ごめん! って、あれ?? 前にもこんなことなかったっけ??」
ここへ来てから頭が混乱することが多いな……。
そういえば、学校……どうなったんだろ?
休学扱いかな?
「おーい! マルガリータ。テーブルにもう載っけておいたぞー」
「はーい!」
このログハウスを連想される木材でできた部屋の奥から若々しい声が聞こえて来た。部屋の奥もここからでは薄暗いけど、どうやら同じ造りだ。
って、誰?
俺は起き上がると、部屋の奥へとスタスタ歩くマルガリータについていった。案の定。部屋の奥も木の香りが充満している。
それに美味しそうな食べ物が木製の大きなテーブルに所狭しと載せられていた。恐らくは大半がマルガリータの食べ物だろうな。
黒の骸盗賊団の洞窟を思い出す木の実や果物。後は、豚などの肉類にパン。それらがてんこ盛りにテーブルに置かれていた。
俺は草原で倒れていた初老の男の人がテーブルに座っているのを発見した。
初老なのに声や顔は若々しかった。何故なら白髪だからだ。実際に年齢は40代にも見える。凛々しい顔をした人だった。
ああ、そうか。この人が……。
「お師匠。こちらがさっき盗賊団から私たちを助けてくれた鬼窪 功一くんです」
「おお、ありがとう。私はマルガリータの師匠をしているヒッツガルという者です」
「俺は意識を失っていたけど……お互い無事で良かった」
「あ……。そのことなんだが。最初に謝っておく。すまないな。盗賊団の頭領オニクボを撃退したあれは私の究極魔法の一つブレンド・ファイアだったんだが……」
「お師匠は魔方向音痴だから」
ヒッツガル師匠の顔色を窺いながら、マルガリータがクスリと笑って言った。
「魔方向音痴?」
「そ、魔法の狙いが完全にコントロールできないの」
「そう、本当に申し訳なかったね。あれは私の中でも強力な魔法だったから」
ヒッツガル師匠が俺にひたすら謝っていた。そんなヒッツガル師匠にマルガリータは再び笑って、テーブルの席に着くと料理にパクついた。
「まあ、いいけどな。熱かっただけだし」
俺はまた貴重な戦力を得たと思った。
でも、当然。魔法の方向さえ間違えなければだけど……。
そういえば、黒の骸盗賊団の人たちから最初に襲われた時だ。盗賊団は土の中からでてきたんだっけ。黒の骸盗賊団の人たちは何か土の中へ入る技術があるんだ。
よーっしっ! オニクボがどこにでてくるのか、わかったもんじゃないが……これは逆に勝機なんだ!
俺は緊張で冷や汗が出たが、片手で掴んだ神聖剣を振り上げると、素早く動く地面の盛り上がったところを狙って。突き刺した。もう片方の手は髑髏の短剣を万が一のために構えていた。
「ぐわ!」
「やっりーーー! 当たった!!」
土の中から勢いよく右腕を抑えてオニクボが飛翔すると、空中でナイフを構え一回転した。俺は冷や汗を拭って、片手の神聖剣も慎重に構えた。
だが。
「フッ! やるなあ……だが、俺さまはどんな奴よりも危険だぜ!」
オニクボは地面に着地すると同時にマルガリータの背後に回った。首筋にナイフをあてがうと、鋭い目つきで俺に向かって何かを言おうと口を開けた。けれども、何故かマルガリータは静かにまったく別の方向を見つめていた。
「うん?? どうしたんだ? 嬢ちゃん? 抵抗するなら、このままブッスリいくぞ……??」
「鬼窪くん!! 伏せてーーー!!」
マルガリータの絶叫が木霊した。
俺は慌てて伏せると、轟音とともに激しい閃光が周囲を包み込んだ。俺の視界が白一色になった。その次は、超高温が俺の全身を焼いた。立っているのもやっとの物凄い熱さだった。
「あっちちちちいいいいーーーー!!」
体中の汗が瞬時に蒸発し俺はその場でドサッと倒れた。とてつもない高熱で気を失う寸前。俺の真っ白だった視界が、徐々に視力を取り戻してきた。そこには大量に煙が上がった荒れ果てた地が広がっていた。荒れ果てた地はよく見ると地面が陥没していた。まるで、何かとてつもないもので広範囲に抉られたみたいだった。
「さっすがお師匠……でも、敵はあっちよ……」
「こ……こんな奴を暗殺しろって?! 冗談じゃねえ! 頭どうかしてるぜ!!」
オニクボのそう吐き捨てるような声が聞こえ。それと同時に、派手な土を掘る音がした。
きっと、オニクボは逃げたんだな……でも……一体? 何が起きたんだ??
俺はその時、ヒッツガル師匠の魔法のことを思い出しながら意識を手放した。
―――
「鬼邦くん! ご飯出来たって!」
「う、うーん……うん???」
目上には控えめな女性の胸が……。俺はどうやら木製の二段ベッドの下で寝ていたようだった。
「ちょっと、どこ見ているのよ!」
「わ! ごめん! って、あれ?? 前にもこんなことなかったっけ??」
ここへ来てから頭が混乱することが多いな……。
そういえば、学校……どうなったんだろ?
休学扱いかな?
「おーい! マルガリータ。テーブルにもう載っけておいたぞー」
「はーい!」
このログハウスを連想される木材でできた部屋の奥から若々しい声が聞こえて来た。部屋の奥もここからでは薄暗いけど、どうやら同じ造りだ。
って、誰?
俺は起き上がると、部屋の奥へとスタスタ歩くマルガリータについていった。案の定。部屋の奥も木の香りが充満している。
それに美味しそうな食べ物が木製の大きなテーブルに所狭しと載せられていた。恐らくは大半がマルガリータの食べ物だろうな。
黒の骸盗賊団の洞窟を思い出す木の実や果物。後は、豚などの肉類にパン。それらがてんこ盛りにテーブルに置かれていた。
俺は草原で倒れていた初老の男の人がテーブルに座っているのを発見した。
初老なのに声や顔は若々しかった。何故なら白髪だからだ。実際に年齢は40代にも見える。凛々しい顔をした人だった。
ああ、そうか。この人が……。
「お師匠。こちらがさっき盗賊団から私たちを助けてくれた鬼窪 功一くんです」
「おお、ありがとう。私はマルガリータの師匠をしているヒッツガルという者です」
「俺は意識を失っていたけど……お互い無事で良かった」
「あ……。そのことなんだが。最初に謝っておく。すまないな。盗賊団の頭領オニクボを撃退したあれは私の究極魔法の一つブレンド・ファイアだったんだが……」
「お師匠は魔方向音痴だから」
ヒッツガル師匠の顔色を窺いながら、マルガリータがクスリと笑って言った。
「魔方向音痴?」
「そ、魔法の狙いが完全にコントロールできないの」
「そう、本当に申し訳なかったね。あれは私の中でも強力な魔法だったから」
ヒッツガル師匠が俺にひたすら謝っていた。そんなヒッツガル師匠にマルガリータは再び笑って、テーブルの席に着くと料理にパクついた。
「まあ、いいけどな。熱かっただけだし」
俺はまた貴重な戦力を得たと思った。
でも、当然。魔法の方向さえ間違えなければだけど……。