第9話
文字数 1,979文字
うーん。学校は放っておいて……。
ここまで来たんだし……。
なんとか橋を守らなきゃな。
そこで、俺は閃いた。
「あ! マルガリータ! 確か前にハイルンゲルトはドラゴンからもここラピス城を守ったって言っていなかったっけ?」
「ええ。言ったわよ」
「そのドラゴンって強いのか? 今、どこにいる??」
「そうか! 鬼窪くん。冴えてるー! 私、そのドラゴンなら使役できると思うわ! ブルードラゴンのことよね」
「あのブルードラゴンのことか?」
「ドラゴンでやすか?」
ガーネットとさっきの黒の骸団の一人が、俺とマルガリータの間へ割って入って来た。
「どうかしたのか? オニクボ?」
凛とした王女のソーニャもこちらへと来て、その一言で、マルガリータは急に銀のフォークとナイフを置いて食事を一旦止めてから、かしこまった。
「あのソーニャさま。このオニクボが言うには、ここラピス城の海の底にある水の神殿に今も封印されている。あのブルードラゴンを目覚めさせ、今もなお進行中の三万のガルナルナ国の正規軍へ対抗するとのことです」
不思議だ。俺の思いつきの案が通っている……。
学校ではみんなによく一蹴されていたのに……。
「ブルードラゴン? 水の神殿? それは何なの?」
ソーニャが首を傾げた。
黒の骸団の男も当然知らないといった顔をする。
銀のフォークや真っ白な食器の音がするここ大食堂が急に静かになった。
「王女。今から5年前のことなのです……。ブルードラゴンとは元聖騎士のハイルンゲルトによって封印されたあのラピス城の最大の危機の一つで、その強力なドラゴンは、ハイルンゲルトによって、今もなお水の神殿に封印されているのです。お忘れでしょうか?」
マルガリータの言葉にソーニャは少し首を捻ると、コクリと頷いた。
「五年前というと、私が14歳の時か……確かお父様が生きていた頃だな。ここラピス城が危機に陥って、ハイルンゲルト率いるラストブリッジナイツが三日三晩も激しい戦闘をしたと聞いた。その後に無事、橋の下にある神殿へと封印したとお母様から聞いたことがあるな。私はその戦いは見ていなかった。すまない。では、みんな……。今夜は寝ずに水の神殿で水遊びといこう。あ、みんなじゃない。泳げないガーネットとマルガリータはこの城に残っていてくれ。ただし、万が一の時のために戦いの準備をしていてくれ……。もし、私とオニクボが戻らなかったら……」
「へ……え……??」
うーん……ソーニャが俺より年上だったなんて。
ガーネットが大食堂の奥からビールの大ジョッキのお替りをしてきたが、こっちは年上の方がいいんだよな。
俺はこの最悪の危機の中で、どうでもいいことを考えていた。
うっ、俺も……泳ぎはダメなんだけどな……。
学校じゃあ、水のハンマーって呼ばれていたっけ。
「よしっ! それじゃあ、行こう! オニクボ!」
俺はソーニャと正門まで走った。
はあ~~、今日は徹夜か~。
仕方ないかな。
料理美味かったし。
そのお礼しないと。
ほとんど食べてないが……。
うん? それにしても、どうやって封印されたドラゴンを復活させられるんだろう? それらしいことができるのはマルガリータだけだろうに……。
大食堂の空気は未だに豪勢な料理の美味しそうな匂いで満たされていた。
俺は大食堂からの扉から、正門目指して突っ走るソーニャの後を追っていた。ソーニャはやはり王女だった。どこかしら、焦っているかのような感じで一目散に城外へと走っていた。俺も橋を守ると決めたし、ソーニャを追い掛けながら辺りを見回した。調度品やドアが全て石造りで、ここはラピス……石という名前の通りの城なんだなと思った。
「わっ!! ソーニャ?!」
石造りの正門を抜けると、なんとソーニャはすぐに白い鎧を着たまま海へと飛び込んだ。
「こうなりゃ! 水のハンマーの俺も!」
俺もこの盗賊団の服装のまま海に飛び込んだ。
ザブンッ!
と、俺はあっという間に轟々と音のする激しい水の流れの海の中の奥深くへ沈んだ。
そういえば、この橋の下の海は俺がこの世界に来た時に最初にいたところだ。
一体。
なんでこんなところに来たんだろう??
ソーニャは水の神殿の場所を知っているようで、真っ直ぐに海の底へと泳いでいる。
海の中の水はやや透明だった。
(うん?!)
海中でソーニャは平泳ぎをして下方へと向かっていのだが、プレートメイルの白い鎧と白いマントによって、普段は見えにくい白のミニスカートの隙間から……。
(おや?! なんか真っ白な……??)
俺は顔を真っ赤にして頭を強く振ると、
(今はラピス城の最大の危機なんだ! 貴重な王族のパンツを見てる場合じゃないんだ!!)
そろそろ息継ぎが必要になるころには、海の底に朽ち果てた古い神殿が見えてきた。恐らくあれが水の神殿だ。
ここまで来たんだし……。
なんとか橋を守らなきゃな。
そこで、俺は閃いた。
「あ! マルガリータ! 確か前にハイルンゲルトはドラゴンからもここラピス城を守ったって言っていなかったっけ?」
「ええ。言ったわよ」
「そのドラゴンって強いのか? 今、どこにいる??」
「そうか! 鬼窪くん。冴えてるー! 私、そのドラゴンなら使役できると思うわ! ブルードラゴンのことよね」
「あのブルードラゴンのことか?」
「ドラゴンでやすか?」
ガーネットとさっきの黒の骸団の一人が、俺とマルガリータの間へ割って入って来た。
「どうかしたのか? オニクボ?」
凛とした王女のソーニャもこちらへと来て、その一言で、マルガリータは急に銀のフォークとナイフを置いて食事を一旦止めてから、かしこまった。
「あのソーニャさま。このオニクボが言うには、ここラピス城の海の底にある水の神殿に今も封印されている。あのブルードラゴンを目覚めさせ、今もなお進行中の三万のガルナルナ国の正規軍へ対抗するとのことです」
不思議だ。俺の思いつきの案が通っている……。
学校ではみんなによく一蹴されていたのに……。
「ブルードラゴン? 水の神殿? それは何なの?」
ソーニャが首を傾げた。
黒の骸団の男も当然知らないといった顔をする。
銀のフォークや真っ白な食器の音がするここ大食堂が急に静かになった。
「王女。今から5年前のことなのです……。ブルードラゴンとは元聖騎士のハイルンゲルトによって封印されたあのラピス城の最大の危機の一つで、その強力なドラゴンは、ハイルンゲルトによって、今もなお水の神殿に封印されているのです。お忘れでしょうか?」
マルガリータの言葉にソーニャは少し首を捻ると、コクリと頷いた。
「五年前というと、私が14歳の時か……確かお父様が生きていた頃だな。ここラピス城が危機に陥って、ハイルンゲルト率いるラストブリッジナイツが三日三晩も激しい戦闘をしたと聞いた。その後に無事、橋の下にある神殿へと封印したとお母様から聞いたことがあるな。私はその戦いは見ていなかった。すまない。では、みんな……。今夜は寝ずに水の神殿で水遊びといこう。あ、みんなじゃない。泳げないガーネットとマルガリータはこの城に残っていてくれ。ただし、万が一の時のために戦いの準備をしていてくれ……。もし、私とオニクボが戻らなかったら……」
「へ……え……??」
うーん……ソーニャが俺より年上だったなんて。
ガーネットが大食堂の奥からビールの大ジョッキのお替りをしてきたが、こっちは年上の方がいいんだよな。
俺はこの最悪の危機の中で、どうでもいいことを考えていた。
うっ、俺も……泳ぎはダメなんだけどな……。
学校じゃあ、水のハンマーって呼ばれていたっけ。
「よしっ! それじゃあ、行こう! オニクボ!」
俺はソーニャと正門まで走った。
はあ~~、今日は徹夜か~。
仕方ないかな。
料理美味かったし。
そのお礼しないと。
ほとんど食べてないが……。
うん? それにしても、どうやって封印されたドラゴンを復活させられるんだろう? それらしいことができるのはマルガリータだけだろうに……。
大食堂の空気は未だに豪勢な料理の美味しそうな匂いで満たされていた。
俺は大食堂からの扉から、正門目指して突っ走るソーニャの後を追っていた。ソーニャはやはり王女だった。どこかしら、焦っているかのような感じで一目散に城外へと走っていた。俺も橋を守ると決めたし、ソーニャを追い掛けながら辺りを見回した。調度品やドアが全て石造りで、ここはラピス……石という名前の通りの城なんだなと思った。
「わっ!! ソーニャ?!」
石造りの正門を抜けると、なんとソーニャはすぐに白い鎧を着たまま海へと飛び込んだ。
「こうなりゃ! 水のハンマーの俺も!」
俺もこの盗賊団の服装のまま海に飛び込んだ。
ザブンッ!
と、俺はあっという間に轟々と音のする激しい水の流れの海の中の奥深くへ沈んだ。
そういえば、この橋の下の海は俺がこの世界に来た時に最初にいたところだ。
一体。
なんでこんなところに来たんだろう??
ソーニャは水の神殿の場所を知っているようで、真っ直ぐに海の底へと泳いでいる。
海の中の水はやや透明だった。
(うん?!)
海中でソーニャは平泳ぎをして下方へと向かっていのだが、プレートメイルの白い鎧と白いマントによって、普段は見えにくい白のミニスカートの隙間から……。
(おや?! なんか真っ白な……??)
俺は顔を真っ赤にして頭を強く振ると、
(今はラピス城の最大の危機なんだ! 貴重な王族のパンツを見てる場合じゃないんだ!!)
そろそろ息継ぎが必要になるころには、海の底に朽ち果てた古い神殿が見えてきた。恐らくあれが水の神殿だ。