第49話
文字数 1,736文字
風が強くなって、黒煙が殊の外、薄くなって来た。
その時、空から大声が聞こえた。
「鬼窪くん! 早くラピス城へ戻ってきて!! 急にクシナ要塞が攻めてきたの!!」
上を見ると、空から箒に乗ったマルガリータがこちらへ向かって、猛スピードで飛んできた。
「本当か?! ラピス城は無事なのか?!」
「ええ、今のところは無事よ。お師匠と黒の骸盗賊団それに、ブルードラゴンが防戦してくれているの。早く乗って!!」
「ああ。急ごう」
「ちょっと、待って!」
西田がポニーテールを強風に靡かせて、俺とマルガリータの間に割って入り、ゆっくりと右手を挙げる。
「強制転移!」
「え?!」
「へ??」
瞬間、目の前が白一色になった。
それから、しばらくして、光が徐々に消滅していくと、そこは……ラピス城の上空だった。
「あ、転移魔法ね。凄いわ! 私もお師匠も使えない高度な魔法なのに……」
「あの……マルガリータさん……。クシナ要塞の兵が銃で、こっちを狙ってるんですけど」
俺たちの右隣には、クシナ要塞が目と鼻の先にあった。
鉄でできた殺風景な天窓には無数のバルカン砲が設置され、灰色の鎧を着た。いかつい兵たちが陣取っていた。
「撃てーーー!!」
こっちに気が付いた兵たちの号令と共に、クシナ要塞の兵がそれぞれバルカン砲を撃ってきた。
「キャ――! 避けて!!」
マルガリータが箒に向かって、命令するも、大きくバランスを崩してしまっていた。弾丸の嵐の中。大揺れに揺れる大き目の箒の上で、マルガリータの身体は、クルリと箒の下の方へ回転して、そのまま下方へと落ちていってしまった。恐ろしいほどの弾丸が撃たれ、俺は誰もいなくなった箒にしがみつく。
「嘘だろ! こうなりゃ!!」
凄い風圧の中で、俺は箒をなんとか操る。
箒を操り、空中でマルガリータを掴み取るため、下方へと猛スピードで飛んだ。自分が何て凄いことをしているのかなんて、全然考えなかった。
空中で、マルガリータは気を失っていた。
どんどんと落下していく。
俺はそれでもお構いなしに、マルガリータの左腕を空で掴むと、大き目の箒へ乗せた。
クシナ要塞の兵は、それ以上俺たちを撃つのを止めたようだ。
きっと、射程距離外だ。
それより、一番の問題は、どうやって、あのクシナ要塞へ入るかだ……。
俺は箒を操り空を飛びながら考えた。
よし、この方法で行こう!!
俺は神聖剣を抜いて、鋼雲剣をクシナ要塞目掛けて打ち放った。
耳をつんざく轟音と共に、白いピラミッド型のクシナ要塞に、その右下の角に大穴が空いた。中から大勢の怒号が聞こえてきたけれど、俺は気にせずに、箒を操りクシナ要塞の内部に入っていった。
クシナ要塞の内部の構造は、元の世界で都会人だった俺でも、驚くような近代的なものだった。なんと、ここにはエレベーターホールまである。
金属製の壁に床。はたまた電信柱まである。赤と黒のケーブルで、ごっちゃになっているけれど、それでも、機能的だなと思わせる内装だった。床は金属製のパネル式で、冷暖房機能があるのか、今は足底が冷たくて気持ちがいい。でも、ここ……殺風景なんだよな。
「マルガリータ……おい! 起きろ!」
何故かマルガリータは起きなかった。
それから、マルガリータの頬を引っ張ったり、肩を揺り動かしたりしたが、一向に起きてくれない。
バルカン砲にまさか毒でも塗ってあったんじゃ?
と思ったが、そういえば、俺もマルガリータも休むことなく戦い詰めだったんだ。
しばらく、身動きせずに静かにしていると、マルガリータから微かに寝息が聞こえて来た。
俺は仕方なく。右手のドアを開けたところに、真っ暗な階段があったので、その踊り場にマルガリータを隠すように横にさせると、エレベーターホールへと向かった。数ある中から一つのエレベーターを見つけ、案内板を覗いた。そこには、クシナ皇帝や貴族や元老院たちは、最上階にいるみたいだった。
ふーっ、俺もだいぶ疲れているが、まあ、なんとかなるか。なんたって、俺は陸上競技会へ出場した実力者だ。
体力だけは自慢なんだ。
ス――ッっと、音がしてエレベーターの扉が開いた。
箱の中には、先客がいた……。
それも、俺がよく知っている奴だ。
その時、空から大声が聞こえた。
「鬼窪くん! 早くラピス城へ戻ってきて!! 急にクシナ要塞が攻めてきたの!!」
上を見ると、空から箒に乗ったマルガリータがこちらへ向かって、猛スピードで飛んできた。
「本当か?! ラピス城は無事なのか?!」
「ええ、今のところは無事よ。お師匠と黒の骸盗賊団それに、ブルードラゴンが防戦してくれているの。早く乗って!!」
「ああ。急ごう」
「ちょっと、待って!」
西田がポニーテールを強風に靡かせて、俺とマルガリータの間に割って入り、ゆっくりと右手を挙げる。
「強制転移!」
「え?!」
「へ??」
瞬間、目の前が白一色になった。
それから、しばらくして、光が徐々に消滅していくと、そこは……ラピス城の上空だった。
「あ、転移魔法ね。凄いわ! 私もお師匠も使えない高度な魔法なのに……」
「あの……マルガリータさん……。クシナ要塞の兵が銃で、こっちを狙ってるんですけど」
俺たちの右隣には、クシナ要塞が目と鼻の先にあった。
鉄でできた殺風景な天窓には無数のバルカン砲が設置され、灰色の鎧を着た。いかつい兵たちが陣取っていた。
「撃てーーー!!」
こっちに気が付いた兵たちの号令と共に、クシナ要塞の兵がそれぞれバルカン砲を撃ってきた。
「キャ――! 避けて!!」
マルガリータが箒に向かって、命令するも、大きくバランスを崩してしまっていた。弾丸の嵐の中。大揺れに揺れる大き目の箒の上で、マルガリータの身体は、クルリと箒の下の方へ回転して、そのまま下方へと落ちていってしまった。恐ろしいほどの弾丸が撃たれ、俺は誰もいなくなった箒にしがみつく。
「嘘だろ! こうなりゃ!!」
凄い風圧の中で、俺は箒をなんとか操る。
箒を操り、空中でマルガリータを掴み取るため、下方へと猛スピードで飛んだ。自分が何て凄いことをしているのかなんて、全然考えなかった。
空中で、マルガリータは気を失っていた。
どんどんと落下していく。
俺はそれでもお構いなしに、マルガリータの左腕を空で掴むと、大き目の箒へ乗せた。
クシナ要塞の兵は、それ以上俺たちを撃つのを止めたようだ。
きっと、射程距離外だ。
それより、一番の問題は、どうやって、あのクシナ要塞へ入るかだ……。
俺は箒を操り空を飛びながら考えた。
よし、この方法で行こう!!
俺は神聖剣を抜いて、鋼雲剣をクシナ要塞目掛けて打ち放った。
耳をつんざく轟音と共に、白いピラミッド型のクシナ要塞に、その右下の角に大穴が空いた。中から大勢の怒号が聞こえてきたけれど、俺は気にせずに、箒を操りクシナ要塞の内部に入っていった。
クシナ要塞の内部の構造は、元の世界で都会人だった俺でも、驚くような近代的なものだった。なんと、ここにはエレベーターホールまである。
金属製の壁に床。はたまた電信柱まである。赤と黒のケーブルで、ごっちゃになっているけれど、それでも、機能的だなと思わせる内装だった。床は金属製のパネル式で、冷暖房機能があるのか、今は足底が冷たくて気持ちがいい。でも、ここ……殺風景なんだよな。
「マルガリータ……おい! 起きろ!」
何故かマルガリータは起きなかった。
それから、マルガリータの頬を引っ張ったり、肩を揺り動かしたりしたが、一向に起きてくれない。
バルカン砲にまさか毒でも塗ってあったんじゃ?
と思ったが、そういえば、俺もマルガリータも休むことなく戦い詰めだったんだ。
しばらく、身動きせずに静かにしていると、マルガリータから微かに寝息が聞こえて来た。
俺は仕方なく。右手のドアを開けたところに、真っ暗な階段があったので、その踊り場にマルガリータを隠すように横にさせると、エレベーターホールへと向かった。数ある中から一つのエレベーターを見つけ、案内板を覗いた。そこには、クシナ皇帝や貴族や元老院たちは、最上階にいるみたいだった。
ふーっ、俺もだいぶ疲れているが、まあ、なんとかなるか。なんたって、俺は陸上競技会へ出場した実力者だ。
体力だけは自慢なんだ。
ス――ッっと、音がしてエレベーターの扉が開いた。
箱の中には、先客がいた……。
それも、俺がよく知っている奴だ。