第36話
文字数 1,143文字
当然、弾は当たりはしない。
風を切る音が轟音に近くなるにつれ、サンポアスティ国の王城がよく見えてきた。マルガリータはそこの庭園の隅っこに降りるために減速をした。大きな箒を上手に操って、滑空する。その間に、俺はサンポアスティ城全体を見ることができた。緑色の蔓や城壁を伝う水流によって、内部は見えなかったが。だけれど、ここからでも、女王の玉座が垣間見えた。
豪奢な巨大なガラス窓の内側にいる女王と目が合った。
浅黒い肌の美しい妙齢の女性だ。
両脇には、ライオンが寝そべっている。
その隣には……またしても、俺の同級生がいた。
「な?! 西田!!」
それも、俺のもっとも身近な存在。
西田円 という名の……幼馴染だった……。
マルガリータが大きな箒で庭園の隅に着地した。
俺は急いで神聖剣を抜き、サンポアスティ国の兵を迎え撃つ。
元々、着地点の庭園には見張りの兵が数十人もいた。
茶褐色の鎧を寸断していくと、吐血したサンポアスティ国の老兵の一人が、俺の顔を見て驚いた。
「お、お前も……い、異世界人か?!」
「ああ。そうだ」
「どうりで、強いわけじゃー!」
そう言った老兵が斬りかかってきたが、袈裟斬りでさばく。老兵が事切れると、俺は軽いステップでサンポアスティ国の兵を次々と、唐竹割り、横薙ぎ、逆袈裟に斬っていった。
マルガリータが後ろで口笛を吹いた。
「相変わらず鮮やかねえー。鬼窪くん。その調子で女王の間まで行きましょう」
「お、おう! 何故か体が勝手に動くんだ」
俺とマルガリータは、庭園から緑色の蔓と流れ落ちる水流を避けて、東の門を神聖剣で叩き割って、城内へと突入した。
そこは蔓の張り巡らされた外廊下だった。俺と大きな箒を担いだマルガリータは必死に女王の間まで走る。
「はあ、はあ……鬼窪くん。私の体力じゃ残念だけどここまでね……後は鬼窪くんだけで戦って」
「ああ、わかった! そうだマルガリータ! 通小町に治してもらってくれ。多分、体力も回復するから」
「わかったわ」
俺はマルガリータを残して、蔓を避けながら、ひたすら外廊下を突っ走る。
南国を思わせる高価な花瓶や、花が飾られたカラフルな外廊下だった。内廊下には、書斎が見えたり、客間が見えたりするが、どれも無人だった。
等間隔にある外へと繋がる巨大なガラス窓には、今も真っ白な入道雲が見える。
「うおおおおーーー!!」
「ヒーハー――!!」
「ラピス城の騎士だ!! 仕留めろーーー!!」
サンポアスティ国の多くの兵が巨大な窓ガラスを突き破って、サーフィンで俺のいる外廊下へと突っ込んできた。
「うへえええええーーー!!」
俺は驚いて、神聖剣を闇雲に振る。
途端に、サンポアスティ兵の数発のライフル銃が火を吹く。一発の弾が俺の肩をかすった。
風を切る音が轟音に近くなるにつれ、サンポアスティ国の王城がよく見えてきた。マルガリータはそこの庭園の隅っこに降りるために減速をした。大きな箒を上手に操って、滑空する。その間に、俺はサンポアスティ城全体を見ることができた。緑色の蔓や城壁を伝う水流によって、内部は見えなかったが。だけれど、ここからでも、女王の玉座が垣間見えた。
豪奢な巨大なガラス窓の内側にいる女王と目が合った。
浅黒い肌の美しい妙齢の女性だ。
両脇には、ライオンが寝そべっている。
その隣には……またしても、俺の同級生がいた。
「な?! 西田!!」
それも、俺のもっとも身近な存在。
西田
マルガリータが大きな箒で庭園の隅に着地した。
俺は急いで神聖剣を抜き、サンポアスティ国の兵を迎え撃つ。
元々、着地点の庭園には見張りの兵が数十人もいた。
茶褐色の鎧を寸断していくと、吐血したサンポアスティ国の老兵の一人が、俺の顔を見て驚いた。
「お、お前も……い、異世界人か?!」
「ああ。そうだ」
「どうりで、強いわけじゃー!」
そう言った老兵が斬りかかってきたが、袈裟斬りでさばく。老兵が事切れると、俺は軽いステップでサンポアスティ国の兵を次々と、唐竹割り、横薙ぎ、逆袈裟に斬っていった。
マルガリータが後ろで口笛を吹いた。
「相変わらず鮮やかねえー。鬼窪くん。その調子で女王の間まで行きましょう」
「お、おう! 何故か体が勝手に動くんだ」
俺とマルガリータは、庭園から緑色の蔓と流れ落ちる水流を避けて、東の門を神聖剣で叩き割って、城内へと突入した。
そこは蔓の張り巡らされた外廊下だった。俺と大きな箒を担いだマルガリータは必死に女王の間まで走る。
「はあ、はあ……鬼窪くん。私の体力じゃ残念だけどここまでね……後は鬼窪くんだけで戦って」
「ああ、わかった! そうだマルガリータ! 通小町に治してもらってくれ。多分、体力も回復するから」
「わかったわ」
俺はマルガリータを残して、蔓を避けながら、ひたすら外廊下を突っ走る。
南国を思わせる高価な花瓶や、花が飾られたカラフルな外廊下だった。内廊下には、書斎が見えたり、客間が見えたりするが、どれも無人だった。
等間隔にある外へと繋がる巨大なガラス窓には、今も真っ白な入道雲が見える。
「うおおおおーーー!!」
「ヒーハー――!!」
「ラピス城の騎士だ!! 仕留めろーーー!!」
サンポアスティ国の多くの兵が巨大な窓ガラスを突き破って、サーフィンで俺のいる外廊下へと突っ込んできた。
「うへえええええーーー!!」
俺は驚いて、神聖剣を闇雲に振る。
途端に、サンポアスティ兵の数発のライフル銃が火を吹く。一発の弾が俺の肩をかすった。