第59話
文字数 494文字
キーーーーン。
激しい金属と金属が弾けた音がした。
一瞬だけ、何が起きたのかわからなかった。
俺はゆっくりと、目を開けると……。
目の前には、ぼやけた姿の老騎士が立っていた。
――――
古代より三つに分断された土地。
そこには、北方領地を治める白と騎士の国があった。
その最北端にあるトルメル城内の王の間は、白一色の甲冑を着た銅像が所狭しと並べてあり、天井画家による騎士の絵が描かれている吹き抜けの天井には、豪華なシャンデリアが遥か階下へとぶら下がっている。ガラス窓も特徴的であって、二人の騎士が剣を交えた絵が描かれていた。
「クシナよ……この戦争はまだ始まったばかりだ。余はまだ戦ってもいないぞ……」
「ふん! クラスド王よ! 貴様は元々……死んだも同然だったはずだ」
「……まださ。余は何度でも蘇る」
「……やはりな……ゼブル「高き館の主」に魂を売った貴様は……貴様さえ……ここで斬ってしまえば……う……あの時、貴様を斬っていれば……」
クシナ皇帝は、鞘に収めた斬功狼を震える手で握った。
玉座に座る。おおよそ人の姿とはいいがたいクラスド・エドガーに向かって、クシナ皇帝は斬功狼を抜いた。
激しい金属と金属が弾けた音がした。
一瞬だけ、何が起きたのかわからなかった。
俺はゆっくりと、目を開けると……。
目の前には、ぼやけた姿の老騎士が立っていた。
――――
古代より三つに分断された土地。
そこには、北方領地を治める白と騎士の国があった。
その最北端にあるトルメル城内の王の間は、白一色の甲冑を着た銅像が所狭しと並べてあり、天井画家による騎士の絵が描かれている吹き抜けの天井には、豪華なシャンデリアが遥か階下へとぶら下がっている。ガラス窓も特徴的であって、二人の騎士が剣を交えた絵が描かれていた。
「クシナよ……この戦争はまだ始まったばかりだ。余はまだ戦ってもいないぞ……」
「ふん! クラスド王よ! 貴様は元々……死んだも同然だったはずだ」
「……まださ。余は何度でも蘇る」
「……やはりな……ゼブル「高き館の主」に魂を売った貴様は……貴様さえ……ここで斬ってしまえば……う……あの時、貴様を斬っていれば……」
クシナ皇帝は、鞘に収めた斬功狼を震える手で握った。
玉座に座る。おおよそ人の姿とはいいがたいクラスド・エドガーに向かって、クシナ皇帝は斬功狼を抜いた。