第8話 バラバラな模型、壊れた人体
文字数 671文字
その時に二人は見た。鈴村が視界から消える瞬間に浮かべた、恐怖にゆがむ人間の顔を。
それのせいで二人はその場から凍り付いたように動けなかった。
爾来、何かが地面に激突した鈍い音が鳴り響き、それで二人は我に返った。
「え、……ちょ……」
言語能力に異常をきたすほどにケンジは混乱していた。とりあえず何かに誘われるように二人は柵の方へと歩み寄り、身を乗り出すようにして下を覗いた。
そこには粉々に四散した人体模型と、頭から真っ赤な鮮血を垂れ流した人間だったものが横たわっていた。
あまりに生々しいその物体が視界に入った瞬間に二人はやっと事態を飲み込むことができた。
取り返しのつかないことをしてしまったという事を自覚した。
「あ……あ……」
動悸が激しくなり、まともに呼吸をすることも困難なタカシとは相反してケンジはすぐさま行動へと移した。
「逃げるぞ!」
「え?」
「いいから逃げるって言ってんだよ」
「でも救急車とか電話しないと……」
「バカ。そんなことしたら俺らがやったってばれるだろうが!」
「でも……」
「とりあえずここから離れるぞ」そう言うとケンジは扉の裏に隠れていたヒロを連れて、屋上から降りていった。
「そんな……」タカシはバツが悪そうに後ろを振り向きながらもケンジたちの跡を追った。「ま、待ってよ……」
三人は走った。自らの犯した罪から逃げるかのように。
だが罪とは犯した時点で一生ついてまわるもの、償うことも贖うこともできはしない。そんなものはただの自己満足。罪の意識からは決して逃れることができない。なぜならその罪は自分の心の中に根を張るものだから。
それのせいで二人はその場から凍り付いたように動けなかった。
爾来、何かが地面に激突した鈍い音が鳴り響き、それで二人は我に返った。
「え、……ちょ……」
言語能力に異常をきたすほどにケンジは混乱していた。とりあえず何かに誘われるように二人は柵の方へと歩み寄り、身を乗り出すようにして下を覗いた。
そこには粉々に四散した人体模型と、頭から真っ赤な鮮血を垂れ流した人間だったものが横たわっていた。
あまりに生々しいその物体が視界に入った瞬間に二人はやっと事態を飲み込むことができた。
取り返しのつかないことをしてしまったという事を自覚した。
「あ……あ……」
動悸が激しくなり、まともに呼吸をすることも困難なタカシとは相反してケンジはすぐさま行動へと移した。
「逃げるぞ!」
「え?」
「いいから逃げるって言ってんだよ」
「でも救急車とか電話しないと……」
「バカ。そんなことしたら俺らがやったってばれるだろうが!」
「でも……」
「とりあえずここから離れるぞ」そう言うとケンジは扉の裏に隠れていたヒロを連れて、屋上から降りていった。
「そんな……」タカシはバツが悪そうに後ろを振り向きながらもケンジたちの跡を追った。「ま、待ってよ……」
三人は走った。自らの犯した罪から逃げるかのように。
だが罪とは犯した時点で一生ついてまわるもの、償うことも贖うこともできはしない。そんなものはただの自己満足。罪の意識からは決して逃れることができない。なぜならその罪は自分の心の中に根を張るものだから。