第25話 秘書は美女に限る
文字数 739文字
その時、
「里香姉」
後ろから声を掛けられた。
鈴村は振り返る。そこにはまるでホテルの受付嬢のように静謐に佇立している女がいた。
「ああ、レイピアか。早いね」
「また新たな案件が入ってきましたので早めに報告をしようかと」
「えー、マジかよ。終わったばっかなのに」
「それだけ認められているという事です。立ち話もなんですのでこちらへ」
レイピアと呼ばれるその女は背を向けて裏庭の方へと歩いていく。意外に早いその歩みに鈴村は遅れぬようについていった。
「あの子は来てるの?」
「はい、車の中でお待ちいただいてます。それよりも里香姉」
「ん?」
「あなたの服に盗聴器が仕込まれているのはもしかしてお忘れですか?」
「忘れてないよ」
「では言動にはお気を付けください。それは任務終わりに委員会に提出するものであり、言わば業務をどう遂行したのかを見定める材料でもあります。まあ委員会もそんなものはそこまで重要視していないので提出する義務もないですし、今では聞いているのが私だけでしたのでそこまで気に掛けることではないでしょうが、……やはり校長室でのあなたの言動、そして今の発言は裏教が定めた規則に抵触してしまう可能性があります。ただでさえあなたは目を付けられているのですから」
「そりゃ仕方ないよ、いつの時代も野心あふれる若人は目を付けられるものさ。なんせわたしは闇の組織といわれる裏教の闇をも喰らおうとしているんだから」
「……今の発言は完全にアウトかと」
「他の奴らもこれくらいのことは言ってるって。この地位を得たやつが考えることなんてみんなおんなじなんだからさ」
「まったく、私もその地位が欲しいですよ」
「おう、さっさと来いよ」
奸悪な笑みを浮かべた鈴村と呆れ顔のレイピア、二人は同じ方向を向いて歩いていった。
「里香姉」
後ろから声を掛けられた。
鈴村は振り返る。そこにはまるでホテルの受付嬢のように静謐に佇立している女がいた。
「ああ、レイピアか。早いね」
「また新たな案件が入ってきましたので早めに報告をしようかと」
「えー、マジかよ。終わったばっかなのに」
「それだけ認められているという事です。立ち話もなんですのでこちらへ」
レイピアと呼ばれるその女は背を向けて裏庭の方へと歩いていく。意外に早いその歩みに鈴村は遅れぬようについていった。
「あの子は来てるの?」
「はい、車の中でお待ちいただいてます。それよりも里香姉」
「ん?」
「あなたの服に盗聴器が仕込まれているのはもしかしてお忘れですか?」
「忘れてないよ」
「では言動にはお気を付けください。それは任務終わりに委員会に提出するものであり、言わば業務をどう遂行したのかを見定める材料でもあります。まあ委員会もそんなものはそこまで重要視していないので提出する義務もないですし、今では聞いているのが私だけでしたのでそこまで気に掛けることではないでしょうが、……やはり校長室でのあなたの言動、そして今の発言は裏教が定めた規則に抵触してしまう可能性があります。ただでさえあなたは目を付けられているのですから」
「そりゃ仕方ないよ、いつの時代も野心あふれる若人は目を付けられるものさ。なんせわたしは闇の組織といわれる裏教の闇をも喰らおうとしているんだから」
「……今の発言は完全にアウトかと」
「他の奴らもこれくらいのことは言ってるって。この地位を得たやつが考えることなんてみんなおんなじなんだからさ」
「まったく、私もその地位が欲しいですよ」
「おう、さっさと来いよ」
奸悪な笑みを浮かべた鈴村と呆れ顔のレイピア、二人は同じ方向を向いて歩いていった。