第14話 誰かとこの罪の意識の共有を
文字数 916文字
一睡もすることができずケンジは目の下に真っ黒なメイクを施して登校した。
ひとりで懊悩することは散々した。だがこの状況を打開するにはこのままではだめだ。誰かの協力がいる。その時ふと思ったのがタカシとヒロであった。あの二人は事情も知っている。何なら立場を同じにした同志だ。三人でいればこの暗澹とした気持ちもいくらか払拭されるのではないかと考えてケンジは登校していた。
凄惨な事件が起こったあの学校へとケンジは歩みを進める。だがその足取りはいつもよりも重かった。何かが足首にまとわりつくような感覚に苛まれ、歩みが止まろうとする。
(でもダメだ。一人でいたらダメなんだ。あいつらも俺と同じなんだ。だったら一緒にいないと、あいつらだってそう思ってるはずだ。俺たちはいつでも一緒だったんだから)
泥土を歩くような足取りでケンジは六年三組の教室の前へと来た。
(みんな昨日の事件のことを知ってるはずだ。だったら教室は鈴村が死んだ話題で持ち切りのはず。……まさか……まだばれてないよな。俺がやったってばれてないよな。……大丈夫だ。あいつらが言わない限りばれないはずだって、大丈夫)
そう自分に言い聞かせてケンジは教室のドアを開け放った。
そこにはいつもと変わらぬ六年三組の生徒たちの姿があった。みな各々の友達と談笑している。ケンジが入ってきても、特に談笑をやめることはない。
(よかった。俺ってことはとりあえずばれてないみたいだな)
ケンジは胸をなでおろした。
だがおかしなことがある。耳を澄まして周りの声を聞いてみると、誰一人として鈴村の話題を出していなかった。みな昨日のドラマの話やアイドルの話といった不毛なものにうつつを抜かしている。
(なんで……? みんな事件のことを知らないのか? ニュースとか見てないのか?)
意外な展開にケンジは焦る。そのとき視界の端で席に座っているヒロを捕えた。前髪で隠されているため正確ではないが視線はこちらを向いているようだった。
ケンジはヒロの姿を見て安堵した。
仲間がいたと、そう思った。
ケンジは迷うことなくヒロへと肉薄し、許可も取らずに手を引っ張って廊下へと連れていく。とりあえずひと気のないところへ行こうと歩を進める。
ひとりで懊悩することは散々した。だがこの状況を打開するにはこのままではだめだ。誰かの協力がいる。その時ふと思ったのがタカシとヒロであった。あの二人は事情も知っている。何なら立場を同じにした同志だ。三人でいればこの暗澹とした気持ちもいくらか払拭されるのではないかと考えてケンジは登校していた。
凄惨な事件が起こったあの学校へとケンジは歩みを進める。だがその足取りはいつもよりも重かった。何かが足首にまとわりつくような感覚に苛まれ、歩みが止まろうとする。
(でもダメだ。一人でいたらダメなんだ。あいつらも俺と同じなんだ。だったら一緒にいないと、あいつらだってそう思ってるはずだ。俺たちはいつでも一緒だったんだから)
泥土を歩くような足取りでケンジは六年三組の教室の前へと来た。
(みんな昨日の事件のことを知ってるはずだ。だったら教室は鈴村が死んだ話題で持ち切りのはず。……まさか……まだばれてないよな。俺がやったってばれてないよな。……大丈夫だ。あいつらが言わない限りばれないはずだって、大丈夫)
そう自分に言い聞かせてケンジは教室のドアを開け放った。
そこにはいつもと変わらぬ六年三組の生徒たちの姿があった。みな各々の友達と談笑している。ケンジが入ってきても、特に談笑をやめることはない。
(よかった。俺ってことはとりあえずばれてないみたいだな)
ケンジは胸をなでおろした。
だがおかしなことがある。耳を澄まして周りの声を聞いてみると、誰一人として鈴村の話題を出していなかった。みな昨日のドラマの話やアイドルの話といった不毛なものにうつつを抜かしている。
(なんで……? みんな事件のことを知らないのか? ニュースとか見てないのか?)
意外な展開にケンジは焦る。そのとき視界の端で席に座っているヒロを捕えた。前髪で隠されているため正確ではないが視線はこちらを向いているようだった。
ケンジはヒロの姿を見て安堵した。
仲間がいたと、そう思った。
ケンジは迷うことなくヒロへと肉薄し、許可も取らずに手を引っ張って廊下へと連れていく。とりあえずひと気のないところへ行こうと歩を進める。