第13話 監視する美女
文字数 649文字
その日の夜。ケンジの自宅近くにある家の屋根上に女がいた。
闇に溶け込むような真っ黒なスーツに身を包んだ女はこれまた真っ黒な携帯を取り出してどこかへと電話をかける。
「こちらレイピア。場所はターゲット宅近く。どうやら対象は特に行動することなくこのまま夜を明かすように思われますが、このまま見張りを継続――」
『なあレイピアちゃん。業務連絡は相手が誰か名乗ってからっていつも言ってるでしょ? それを相手も分からずベラベラ喋らないの』
「は、左様でした。申し訳ございません」
『まあ別にいいんだよ。私はレイピアちゃんのそういうところが大好きだ―。今度また遊ぼうねー』
「ゆかり姐も仕事用の電波を使って私用の連絡は控えてください。……ところでこれもまた私情なんですが……」
『ん、なんだい?』
「よろしいのでしょうか。なにぶん私はこの世界にもまだ日が浅いので詳しいことは分からないのもあり、果たしてどこまでしていいものなのか……。また、小学生を対象にするという事が初めてなもので……」
『レイピア。この世界ってのはあまりに残酷だよ。私たちの粛清対象に選ばれれば、それが子供だろうと関係ない。それ相応の罰を与える。いや、与えすぎなくらいの罰を与える。それが私達だろ?』
「……そうでした。不躾な質問申し訳ございません」
『いいのいいの。私はそんなレイピアちゃんが大好きだからさ。じゃ引き続き監視を頼んまさー』
そう言うと相手は電話を切った。
プープーという無機質な電子音と冷たい風の音がレイピアと呼ばれる女の耳を撫でていった。
闇に溶け込むような真っ黒なスーツに身を包んだ女はこれまた真っ黒な携帯を取り出してどこかへと電話をかける。
「こちらレイピア。場所はターゲット宅近く。どうやら対象は特に行動することなくこのまま夜を明かすように思われますが、このまま見張りを継続――」
『なあレイピアちゃん。業務連絡は相手が誰か名乗ってからっていつも言ってるでしょ? それを相手も分からずベラベラ喋らないの』
「は、左様でした。申し訳ございません」
『まあ別にいいんだよ。私はレイピアちゃんのそういうところが大好きだ―。今度また遊ぼうねー』
「ゆかり姐も仕事用の電波を使って私用の連絡は控えてください。……ところでこれもまた私情なんですが……」
『ん、なんだい?』
「よろしいのでしょうか。なにぶん私はこの世界にもまだ日が浅いので詳しいことは分からないのもあり、果たしてどこまでしていいものなのか……。また、小学生を対象にするという事が初めてなもので……」
『レイピア。この世界ってのはあまりに残酷だよ。私たちの粛清対象に選ばれれば、それが子供だろうと関係ない。それ相応の罰を与える。いや、与えすぎなくらいの罰を与える。それが私達だろ?』
「……そうでした。不躾な質問申し訳ございません」
『いいのいいの。私はそんなレイピアちゃんが大好きだからさ。じゃ引き続き監視を頼んまさー』
そう言うと相手は電話を切った。
プープーという無機質な電子音と冷たい風の音がレイピアと呼ばれる女の耳を撫でていった。