第2話 虚言癖のケンジ
文字数 569文字
問題児なるものはいつの時代でもどこででも冷たい目を向けられることは必至である。そして親というものはどうやっても自分の子供をそれにさせないようにと教育を施す。だが大数の法則なのか自然の摂理なのかどこの地域でもそういった存在は現れてしまう。
例えばこの学区で言うケンジのように。
国家公務員である検事のように善悪の分別を正しく判断して欲しいという母親の思いをくみ取ることなく、ケンジは立派な問題児となっていた。しかしそれは他人を殴ったり、他人のものを自分のものだと言い張るようなガキ大将のようなものではなかった。
ただ一つ、嘘をつき他人に迷惑をかける。それだけだった。言葉だけを見れば可愛いものだったかもしれない。しかしそれは次第にエスカレートしていった。
最初は友達の顔に水性ペンだと偽った油性ペンで落書きをしたり、お互いにカンニングし合って良い点を取ろうと言ったテストで相手に嘘の答えを見せたりと、まだ小学生の枠を逸脱しないレベルではあった。
だが最近では嘘という操縦桿を使って気弱な生徒を他校のガキ大将に特攻させたり、ガキ大将同士を喧嘩させスクールカーストそのものに抜本的改革を及ぼしたりと、小学生の児戯とは言えないレベルにまで昇華してきていた。
そしてそれはとうとう取り返しのつかない事件を起こしてしまった。
屋上から、人が落ちた。
例えばこの学区で言うケンジのように。
国家公務員である検事のように善悪の分別を正しく判断して欲しいという母親の思いをくみ取ることなく、ケンジは立派な問題児となっていた。しかしそれは他人を殴ったり、他人のものを自分のものだと言い張るようなガキ大将のようなものではなかった。
ただ一つ、嘘をつき他人に迷惑をかける。それだけだった。言葉だけを見れば可愛いものだったかもしれない。しかしそれは次第にエスカレートしていった。
最初は友達の顔に水性ペンだと偽った油性ペンで落書きをしたり、お互いにカンニングし合って良い点を取ろうと言ったテストで相手に嘘の答えを見せたりと、まだ小学生の枠を逸脱しないレベルではあった。
だが最近では嘘という操縦桿を使って気弱な生徒を他校のガキ大将に特攻させたり、ガキ大将同士を喧嘩させスクールカーストそのものに抜本的改革を及ぼしたりと、小学生の児戯とは言えないレベルにまで昇華してきていた。
そしてそれはとうとう取り返しのつかない事件を起こしてしまった。
屋上から、人が落ちた。